まさに良書。
良書と言わざるを得ないほど焙煎に関する本の中で圧倒的に論理的に焙煎のことが書かれている。焙煎がまだまだの僕にとって最高の焙煎の教科書である。
コーヒー焙煎を「長年の勘に頼る職人技」としたい人にとっては最大の敵になると言っても過言ではない本である。ドリップコーヒーの技術に比べ、焙煎の技術はブラックボックス化しているが、この本は焙煎理論を細かく解説している唯一の本であると言ってもいいかもしれない。
日本の焙煎教本にあるようなローストプロファイルが書いてある本ではない。例えるなら魚をくれるのではなく、魚の釣り方を教えてくれる本だ。
著者はどんな人?

著者は世界のコーヒー業界のオピニオンリーダーとして知られるScott Rao(スコットラオ)。世界的に有名なドリップ技術の一つ「ラオスピン」の名前の由来になったことでも知られている。
Scottは焙煎だけでなくコーヒー抽出のプロでもある。バリスタとしてエスプレッソ理論やコーヒー抽出に関して深く学びたい人は以下の本もオススメ。いつ読んでも本当に色あせる事のない知識が満載の本。僕も迷った時はいつもこの本に助けてもらっている。
バリスタの仕事をしていると多くの「なぜ?」が頭の中に生まれてくる。 「なぜ今回淹れたコーヒーは美味しくなかったんだろう?」 「なぜ今回のエスプレッソは渋かったんだろう?」 原因が分かれば改善できるのにその原因が分からないため、途方に[…]
どんな事が学べる?

内容に関しては詳しく書くことはできないが、例えばチャージ温度を決定するにはどの項目(バッチサイズや豆の密度など)をどのように考慮しなければいけないか、暖機の効果的な方法、浅煎り(ノルディックロースト)における最適なディベロップメントタイムレイシオなどなど。
全ての章がとても勉強になり、読んだその場で得た知識を試したくなってくる。
この本のデメリット

ただしこの本にもデメリットはある。それは英語で読まなければいけないという事。読了まで結構な時間を要する。辞書を片手に英語で理解するのは骨の折れる作業だ。
しかし読み終わった後、迷い込んだ暗いトンネルに光が差し込んだような気持ちになることは間違いない。これから焙煎を始める人や、既に焙煎をしていて行き詰まっている人にとてもオススメな本なのでぜひ一度は読んでいただきたい。