何事においても「シンプルな方法で大きな結果を得る」ほうが心理的にも体力的にも負担は少ない。
コーヒーの抽出も同じ。
自分用に毎日淹れるコーヒーはシンプルで簡単な方法の方が絶対に良い。仕事柄様々な方法を試し、最終的に今回のシンプルな方法に辿り着いた。HarioV60を使用し、とてもシンプルな方法で誰でも簡単に美味しいコーヒーを淹れられるメソッドをシェアしたい。
ポイントは三つ

2投メソッドの重要なポイントは以下の3つ。(中浅煎り〜中煎り)たったこの3つのポイントさえ抑えれば誰でも簡単に美味しいコーヒーが簡単に淹れられる。
・コーヒー豆:15g
・湯量:225g
②湯温
・93℃
③蒸らし時間1分
・蒸らしは1分
・蒸らしに使う湯量は30g
品質のよいコーヒー豆を使うのも忘れずに
抽出しよう
コーヒー豆の用意

コーヒー豆は15gを使用する。今回使用するコーヒーは、『コロンビア ウォッシュトプロセス 中浅煎り』。りんごや洋梨のような爽やかな果実味とブラウンシュガーのような甘さの余韻を楽しめるスペシャルティグレードのコーヒー。
コーヒー豆をグラインド

挽き目は中細挽き。抽出時間が短い分、やや細かめの粒度にすることでコーヒーの成分が早く出るように調節。コマンダンテであれば26クリックくらいが丁度良い粒度帯。他の手挽きミルやグラインダーを使用する場合は以下の記事が参考になる。
手挽きコーヒーミルは国内・国外にて様々なモデルが開発・販売されている。 ■ ポーレックス(Porlex)■ Zpro(ジープロ)■ Timemore(タイムモア)■ Kinu(キヌ) M47 など高品質なモデルが各社で続々と発表され[…]
ペーパーのリンス

リンスをしてペーパーフィルターの臭いを取り除く。ドリッパーの側面にお湯をクルッとラフに3周ほど掛けるだけ。リンスにはペーパー臭を取り除く効果と、ドリッパーを温める効果もある。サーバーに落ちたお湯は必要ないので捨ててしまおう。
ちなみに今回、ペーパーフィルターは臭いが少なく通液性の高さが特徴であるトップバリスタ愛用のアバカフィルターを使用している。
競技会のチャンピオンクラスのトップバリスタがこぞって使用する「アバカコーヒーフィルター (Abaca Coffee Filter)」だが、その機能性の高さからコーヒーラバーの間でも注目を浴び始めている。 HARIOが製造販売しているV6[…]
水を93度に温める

湯温は93℃。今回のコーヒー豆は中浅煎りなので低すぎても高すぎてもよくない。92、93℃くらいがベスト。温度は温度計を使うか、ピンポイントで温度調整ができる温調ケトルがオススメ。以下の記事では、その温度調節機能付きケトルの良さを余すことなく紹介しているので気になった方は参考までに。
世界中のトップバリスタの多くが使用している事で注目を浴び、今や電気ケトルNo1の呼び声が高いBrewistaのケトル。 湯温を測るのに温度計を使うのがいつも煩わしく感じていたのと、Brewista製品がずっと欲しかったので購入してみた。[…]
粉を慣らす

粉は必ず平らに慣らす。ドリッパーを数回揺らしてあげることで表面が平らになり、粉の層の内部の密度も均一になり、チャネリングが起こりづらくなる。
バリスタであればチャネリングという言葉を一度は耳にした事があるかもしれない。特にエスプレッソ抽出においてチャネリングという言葉が使用される。 もしこのチャネリングという現象がエスプレッソ抽出時に発生した場合、出来上がりのエスプレ[…]
ストップウォッチをスタート
ドリップスケールのタイマーをスタート。タイマーがカウントされたらすぐに蒸らしを開始。タイマーとスケール別々で使用してドリップするのでももちろんよいが、やはりコーヒー用ドリップスケールがあった方が便利。
僕がコーヒーを本格的に始めようと思った当時、まず一番最初に購入したのがHARIO(ハリオ)のV60 ドリップスケール。 そもそもコーヒーを淹れるのに計りが必要だなんて事さえ知らなかったのだけれど、働き始めたコーヒーショップでスケールを使[…]
「ドリップスケールを購入してみようかな?」 と思い立ってウェブで探した時にまず一番に最初に目に付くのがHARIO V60ドリップスケールだろう。ドリップスケールの定番中の定番だ。価格も手頃でホームバリスタ御用達の商品としても知られている[…]
蒸らし(1投目)

蒸らしに使う湯量は30g。コーヒー豆に対して蒸らしの湯は2倍は必要。粉の全てにお湯が掛かるようにするのがポイント。30gより湯が少なすぎるとコーヒー粉の層の下にまでたどり着かず均一に蒸らすことができないので注意。
ドリッパーをスピン

30gのお湯を手早く掛けたあとはドリッパーを両手で軽く持ち上げクルクルとドリッパーを2、3回スピンさせる。そうすることでしっかりと全ての粉に湯を行き渡らせることができる。蒸らし時間は1分。しっかりと蒸らし時間を取ることで抽出効率をあげる効果がある。
2投目
1分経過したら2投目を開始。掛ける湯量は195g。
225g−30g(蒸らし)=195g
中央から外側へ、外側から中央へを繰り返し、45秒くらいで195g全てを掛け終わるようにする。2投にする事で、温度の一貫性を保った状態の湯とコーヒー粉が常に接触している状態を作り出すことができ、成分をしっかりと引き出すことができる。
ドリッパーをスピン
2投目を掛け終わったらすぐにまた2、3回スピン。外側に付着したコーヒーの粉を削ぎ落とす。このやり方はスコットラオにちなんでラオスピンと呼ばれている。
ちなみにスコットラオはコーヒー業界のオピニオンリーダー的な存在でかなりの著名人。エスプレッソや焙煎に関する本も数冊書いている。
バリスタの仕事をしていると多くの「なぜ?」が頭の中に生まれてくる。 「なぜ今回淹れたコーヒーは美味しくなかったんだろう?」 「なぜ今回のエスプレッソは渋かったんだろう?」 原因が分かれば改善できるのにその原因が分からないため、途方に[…]
まさに良書。 良書と言わざるを得ないほど焙煎に関する本の中で圧倒的に論理的に焙煎のことが書かれている。焙煎がまだまだの僕にとって最高の焙煎の教科書である。 コーヒー焙煎を「長年の勘に頼る職人技」としたい人にとっては最大の敵になると言っても過[…]
抽出後の粉の状態

最後のスピンをしてから1分〜1分30秒経過後全てのお湯が落ちきる。これで抽出完了。写真(上)のように平らな状態になっていれば抽出成功。
つまり1投目を掛けてからトータルの時間は大体3分〜4分の間になる。これより早かったり遅かったりした場合は挽き目を調整する。
完成

プロでなくても、誰でも簡単にシンプルに美味しいコーヒーが淹れられる方法を模索してきた結果が今回の2投メソッド。濃度感もちょうどよく甘さの余韻が楽しめるコーヒーに仕上がった。ぜひお試しあれ。
レシピおさらい
工程 | 時間経過 | 湯量 | |
① | 蒸らし(1投目)スタート | 0:00 | 30g |
② | スピン | 0:10 | |
③ | 2投目スタート | 1:00 | 195g |
④ | 注ぎ終わり後にスピン | 1:45 | |
⑤ | 落ちきり | 3:00〜4:00 | |
⑥ | 完成 |