浅煎りコーヒーの良さはフレーバーとクリアーな透明感。
お店で浅煎りのコーヒーを飲んでフルーティな味わいに感動し、自宅でも同じ味を再現したいと思ってコーヒー豆を購入し淹れてみたところ「全然お店の味にならない」といった経験があなたにも一度はあるのではないだろうか。
浅煎りのコーヒーを美味しく淹れるためには浅煎りを美味しく淹れるための知識と技術が必要となる。知らないままでやってしまうとせっかくのコーヒー豆を台無しにしてしまいかねない。
浅煎りの淹れ方も深煎りと同様、人の数ほどあるがまずは今回紹介するやり方を実践してもらえば大きく外すことはなく、適正な浅煎りの抽出ができるだろう。
今回紹介する方法は世界的なバリスタが使用している小技を随所に散りばめた抽出方法になっているのでぜひともトップバリスタのテクニックを実際に体感してみてほしい。
抽出レシピ

抽出レシピはとてもシンプル。ケトルコントロールに慣れていない初心者の方の場合はお湯をドバッと出してしまいがちだが、ドリップコーヒーは毎日淹れていれば必ず上達するのでまずは失敗を恐れずに楽しみながらトライしてみよう。
使用ドリッパー | Hario V60 |
コーヒー豆 | 14g |
湯量 | 225g(ml) |
湯温 | 93℃ |
抽出時間 | 2分30秒〜3分 |
粒度 |
中挽き |
トップバリスタの3つのテクニック

SNSなどで海外のトップバリスタが駆使しているのをよくみかける3つのテクニックを今回織り交ぜていく。これをやるのとやらないのでは味に大きく違いが出るので覚えておいて損はない。
① 粉の層に指で穴をあける
② ブリュースティックで攪拌
③ ラオスピン
ドリップをしよう
14gのコーヒー豆を用意

さあ、それではドリップを実際にやっていこう。まずは浅煎りのコーヒーを14g用意する。
ペーパーをリンスする

リンスする目的は2つ。
ペーパーの匂いを取ること。もう一つは本抽出でお湯がペーパーに吸われるのを防止すること。どういうことかというと、せっかくスケールで正確に225gのお湯を注いでも乾いたペーパーがお湯を幾分か吸ってしまうため実際には225gのお湯が抽出に使用されていないことになってしまう。
上記2つの理由からリンスは忘れずにしよう。リンスに使用したお湯は捨てしまって問題ない。
使用するペーパーフィルターのおすすめはアバカフィルター。Hario純正と比べるとペーパー臭さがあまりなく、通液性の高さが特徴のアバカフィルターがおすすめ。目詰まりをあまり起こさないので透明感のある浅煎りに仕上げたい場合は特におすすめ。
競技会のチャンピオンクラスのトップバリスタがこぞって使用する「アバカコーヒーフィルター (Abaca Coffee Filter)」だが、その機能性の高さからコーヒーラバーの間でも注目を浴び始めている。 HARIOが製造販売しているV60用[…]

コーヒーを受けるサーバーを温めておくのも忘れずに。そして抽出の直前にお湯を捨てるのも忘れずに。
中挽きにグラインド

中挽きにグラインド。上の写真はコマンダンテコーヒーグラインダーを使用し30クリックでグラインドした粒度。
手挽きコーヒーミルは国内・国外にて様々なモデルが開発・販売されている。 ■ ポーレックス(Porlex)■ Zpro(ジープロ)■ Timemore(タイムモア)■ Kinu(キヌ) M47 など高品質なモデルが各社で続々と発表されている群[…]
中央に指で穴を空ける


HarioV60のような円錐型ドリッパーの場合、中央部分が一番粉の層が厚い。そのため中央部分の層の最下部はお湯が届きづらく、蒸らしの段階で均一にお湯をいき渡らせることが難しい。中央に指で穴を空けることでしっかりと均一に蒸らすことができる。
より詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてほしい。
Youtubeの動画、もしくは実際のプロの抽出においてこんな光景、何度か見かけたことがあるのではないだろうか。 挽いたコーヒー粉をドリッパー内に投入し、指かスプーンで真ん中に軽く穴を開けてから、蒸らし工程に入るという光景を。一見何の意味があ[…]
蒸らし

蒸らしの湯量は30g。中央から円を描くようにゆっくりと外側へ。最後の一周は側面にかける。そうすることでペーパーフィルターに隣接した粉にもきちんとお湯がかかる。
スプーンで6方向から

30gのお湯を注ぎ終わったら速やかにスプーンで6方向から中央に向かって切るように動かす。こうすることで粉内部までより均一に蒸らしのお湯を早くいき渡らせることができる。僕は細長いブリュースティックを愛用しているがコントロールが利きやすく非常に重宝している。
元々コーヒー器具としては作られていないが「これコーヒー器具として使えるのではないか?」という商品が世の中には存在する。今回はそんな商品の一つ「マドラースプーン」を購入して使ってみた。 このマドラースプーンを使ってコーヒーを抽出すれば、V[…]

この蒸らしの段階で下から大きな気泡がポコポコと放出しきればきちんと粉の層の最下部までお湯が行き渡った証拠。2投目、3投目に突入しても尚、ボコボコと表面に気泡が浮かび上がってくる場合は蒸らしの段階でお湯を全ての粉に行き渡らすことができなかったということなのでそうならないようにしっかりと蒸らしの段階で均一にお湯をいき渡らせよう。

このテクニックはあくまでも粉の層を極力破壊せずに最下部までお湯を行き渡らせる方法なので、上の写真のように層をぐちゃぐちゃになるようにかき混ぜないように注意。
90g 注湯

2投目は90gのお湯を中央から円を描きながらゆっくりと外側へ。
60g 注湯

次は外側から中央へゆっくりと注いでいく。

次の注ぎに移るときの目安は粉の層が1cmくらい見えてきたとき。注ぎ終わってから10秒ほど待つと1cmくらい見えてくる。
45g 注湯→ラオスピン

最後の45gは中央から外側へゆっくりと注ぐ。注ぎ終わったらすぐにラオスピンをしよう。ラオスピンとはドリッパーを3回ほど両手でくるくると軽く回し揺するテクニックだ。ラオスピンをすることで側面に張り付いている粉を湯の中へ落とすことができ、粉一粒一粒から余すことなく最後まで良い成分を抽出することができる。

最後お湯が落ちきったらコーヒーベッドを確認しよう。上の写真のようにきれいにフラットベッドになっていれば成功だ。抽出時間は2分30秒〜3分の間に収まるようする。
もし抽出時間が早ければ粒度が粗いか注ぐスピードが速い可能性があるので、粒度をやや細かくするか注ぐスピードをもう少しゆっくりしてみよう。抽出時間が長くなりすぎる場合はその逆を試せば改善される。
完成

浅煎りのコーヒーが完成。浅煎りのコーヒーの持つフレーバーがしっかりと感じられ、心地良い酸味と甘さ、そして透明感のあるコーヒーに仕上げることができた。
浅煎りのコーヒーを自宅で淹れるのは少しハードルが高いと思われがちだが、コーヒー豆とお湯の比率、粒度さえ適切であればケトルコントロールを少しミスしてしまっても大きく外れた味になることはないので、ぜひあなたも一度思い切ってトライしてほしい。
きっと今より何倍もコーヒーライフがエンジョイできるはずだ。
レシピおさらい

① 14gのコーヒー豆を中挽きにグラインド
② コーヒーベッドに指で穴をあけ、30gのお湯で蒸らし
③ ブリュースティックで攪拌
④ 1投目 (90g注いで10秒待つ)
⑤ 2投目 (60g注いで10秒待つ)
⑥ 3投目 (45g注いでラオスピン)
⑦ 2分30秒〜3分の間で抽出完了