「クレバーコーヒードリッパーだと浅煎りが美味しく淹れられないな・・。」
「どうすればクレバーで美味しい浅煎りを淹れられるの?」
という声をよく耳にする。工程がシンプルで誰でも簡単にコーヒーが抽出できるクレバーコーヒードリッパーの唯一の弱点がそこにある。浅煎りとの相性があまり良くないのだ。
僕自身も浅煎りを淹れる時はクレバーは使用せずにV60やカリタウェーブドリッパーを使って抽出する。そちらの方が美味しく抽出できるからだ。
ただ忙しい時や出先(アウトドアなど)でより手軽に浅煎りを淹れたい時はやはりV60やカリタウェーブドリッパーはめんどくさい。そんな時はクレバーを使って手軽に美味しい浅煎りコーヒーを淹れたいというのが正直なところ。
今回紹介するのはそんな悩みを解決してくれる新しい抽出メソッド。コーヒー業界の著名人が提唱している方法で、このメソッドを知れば今日からすぐに手軽に美味しい浅煎りコーヒーを楽しむことができる。
■ 浅煎りのコーヒーをもっと美味しく淹れたい人
■ クレバーコーヒードリッパーの淹れ方で悩んでいる人
■ 新しいやり方をトライしたい人
■ もっと味の再現性を高めたい人
提唱者はバリスタ世界チャンピオン

ありそうでなかった画期的な抽出メソッドを提唱したのは2007年ワールドバリスタチャンピオンであるジェームス・ホフマン氏。
Youtubeのチャンネル登録者数は66万人(2021年1月現在)というコーヒー系ユーチューバーの中では圧倒的なファンを世界中に持つ。
丸山珈琲代表の丸山健太郎氏が日本語版を監修した「スペシャルティコーヒー大辞典」の原本の著者でもある。
なぜクレバーは浅煎りと相性があまり良くない?
僕が一番好きなコーヒーは「クリーンで甘いコーヒー」。飲んだ瞬間、コーヒーが持つ良質なフレーバーが口と鼻の奥まで広がり、何の抵抗もなく水のようにするりと喉を通り、最後に口の中で甘さの余韻が長時間持続するようなコーヒー。そんなクリーンで甘いコー[…]
もちろん↑の記事で紹介しているクレバーのオーソドックスなレシピで淹れても良い。ただ浅煎りの場合は少し問題が生じる。
浅煎りは深煎りに比べ豆が重いので粉が下に沈みやすいのだ。そのため、抽出の後半はお湯抜けが悪くなり過抽出の原因になってしまう。
お湯抜けを良くするために粗めに挽いて対処することもできるが、粗挽きにした場合は成分を十分に引き出すために抽出時間を伸ばす必要がある。
ただ抽出時間を無闇に長くしてしまうとドリッパー内のお湯の温度はどんどんと下がってくるので出来上がりはやや冷めたコーヒーになってしまう。
この湯だまりを解消し浅煎りでもスムーズな抽出を実現してくれるのがジェームスホフマン氏による新しい抽出メソッドである。
過抽出に関しては以下の記事で詳しく解説している。
コーヒーの味の評価する際にバリスタが非常によく使う2つの言葉がある。これからバリスタになりたい人やコーヒーが趣味の人はぜひ覚えておいてほしい。 未抽出(英名:Under-Extraction/アンダーエクストラクション) 過抽出(英名:[…]
実際に抽出してみよう
ペーパーフィルターをセット

ペーパーフィルターをセット。茶色い無漂白タイプはペーパー臭が強いので酸素漂白された白いペーパーフィルターがおすすめ(写真上)。
リンスする


お湯でペーパーフィルターをリンスしよう。リンスをすることでペーパー臭を取り除くことができる。

リンスしたお湯は捨ててしまって問題ない。
湯を投入

沸騰したお湯を先に投入しよう。コーヒー粉を先入れするオーソドックスと逆の順番になる。
オーソドックスレシピは以下の記事から。
僕が一番好きなコーヒーは「クリーンで甘いコーヒー」。飲んだ瞬間、コーヒーが持つ良質なフレーバーが口と鼻の奥まで広がり、何の抵抗もなく水のようにするりと喉を通り、最後に口の中で甘さの余韻が長時間持続するようなコーヒー。そんなクリーンで甘いコー[…]
コーヒー粉を投入


お湯の上に挽いたコーヒー粉を投入する。ポイントは挽いたら速やかに投入すること。
理由は2つ。アロマやフレーバーなどの揮発性物質の減少を最小限に抑えるため。もう一つは湯温の低下を最小限に抑えるため。挽いたら速やかに投入しよう。

挽き目(メッシュ)は中細挽きで。オーソドックスのやり方だと中細挽きの浅煎りは抽出後半で詰まることが多いが今回のメソッドであれば全く問題ない。甘さや複雑なフレーバーをしっかりと引き出してくれる。
かき混ぜて2分待機

すぐにスプーンで表面を10〜15回ほどかき混ぜる。ポイントは粉がダマの状態にならないよう全ての粉がお湯と馴染むように混ぜること。混ぜ終わったら2分待機。
もう一度かき混ぜて軽く回す

2分経過後表面の粉を軽く2、3回かき混ぜる。

その後フィルター側面についている粉を落とすため軽くクレバーを回す。その後さらに30秒間待つ。この30秒間の間に全てのコーヒー粉は底に沈み、フラットな層になり均一な抽出を促してくれる。
透過開始

最後の30秒を待ったらクレバーをサーバーに乗せて透過を開始する。従来のやり方であれば2〜3分ほど掛かっていたものが約1分ほどで全て落ち切ってくれる。微粉によるフィルターの目詰まりが起こす過抽出を防いでくれる。
完成

浅煎りのコーヒーが完成。

ドリッパー内の層が真っ平らになっていればコーヒーの成分を均一に抽出できている証拠。

非常にマウスフィールが良く、ペーパーフィルター抽出によるクリアな味わい。そしてさらに余韻の甘さを感じる素晴らしい浅煎りのコーヒーが出来上がった。
味の調整方法
味が薄い場合は?
もし味が薄くてどこかすっぽ抜けたような味のコーヒーになってしまった場合はメッシュサイズ(挽き目)を少し細かく設定しよう。
味が濃すぎた場合は?
味が濃すぎたり、濃度の高さによる苦味を感じるようであれば少しメッシュサイズ(挽き目)を荒くしよう。
最後に

とてもシンプルでクイックな浅煎りのための「新しい抽出メソッド」を今回紹介した。 クレバー愛用者の方はもちろん、これから自宅やオフィスで気軽に美味しいコーヒーを楽しみたいというライトユーザーの人たちにぜひ試してもらいたい。今までのコーヒーライフが間違いなく劇的に変わるはずである。