【純正を超える!?】アバカコーヒーフィルターがプロから熱視線を受けるわけ

競技会のチャンピオンクラスのトップバリスタがこぞって使用する「アバカコーヒーフィルター (Abaca Coffee Filter)」だが、その機能性の高さからコーヒーラバーの間でも注目を浴び始めている。

HARIOが製造販売しているV60用純正フィルターの品質を上回ると巷ではまことしやかに囁かれているが、そんな「アバカコーヒーフィルター」とは一体どんなフィルターなのか。プロに選ばれる注目のペーパーフィルターを今回紐解いていきたい。

 

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「アバカ」とは?

photo by Philter

アバカとは植物の名称。バショウ科バショウ属(バナナ)の植物で別名マニラ麻とも呼ばれる。実際は麻ではないが、その繊維量の多さからそのように名付けられている。アバカはフィリピン原産の植物で、バナナの木に非常によく似た外見をしているのが特徴。



アバカの繊維の特徴

Photo by INFO

幾度も人の手から人の手に渡ったり、何度も機械を通されたりと、高い耐久性が求められる紙幣にはアバカの繊維が原料として使用されていることも多い。

実は日本が発行している紙幣もアバカが原料として使用されている。アバカの繊維は数ある植物繊維の中でも最も強靭なものの一つだと言われている所以である。



アバカフィルターはどこが製造している?

アバカフィルターを製造販売しているのは三洋産業という日本のメーカー。パッケージに記載されているCAFEC(カフェック)はブランドネーム。


実はこの三洋産業は世界で初めて円錐型ペーパーフィルターを製造したメーカーとして知られている。そんなコーヒー器具のパイオニア的存在の三洋産業はかつてHARIOから委託されて、HARIO V60用の純正フィルターの製造を任されていたほど。(現在HARIO純正フィルターはHARIOの自社製造となっている。)

 

三洋産業がHARIOの純正フィルターのOEMを辞めて以来、アバカフィルターに乗り換える人も多いみたい。

 

 

注目度がさらに高まった理由

Photo by 三洋産業

以前からプロの間では大変評価が高いアバカフィルターだが、SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)が主催するJHDC2019(ジャパンハンドドリップチャンピオンシップ)とJBrc2019(ジャパンブリューワーズカップ)においてこのアバカフィルターを用いて畠山氏が優勝したことも更なる人気に拍車をかけた。



アバカフィルターの特徴

両面クレープ加工

HARIO純正 内側
アバカフィルター 内側

HARIO純正ペーパーフィルターや他社のペーパーフィルターは外側のみクレープ加工(シワ加工)になっており、内側は触るとツルツル。アバカフィルターの場合は内側にもクレープ加工が施され、両面クレープ加工が特徴となっている。



深めのクレープ加工

HARIO純正
アバカフィルター

アバカフィルターはHARIO純正と比較して深めのクレープ加工が施されている。この深いシワが両面にあることによってバランスの良い高低差ができ、スムーズな抽出をすることができる。

 

通液性の高さ

非常に強度の高いアバカの繊維だが、その繊維は通常の木材パルプの半分の細さである。そのため、スムーズに液体を通す通液性の高さも大きな特徴となっている。

 

 

実際にアバカフィルターで抽出しよう

それではHARIO純正ペーパーフィルターとアバカコーヒーフィルターの両方をを使いそれぞれコーヒーを抽出してみたい。ドリッパーは円錐型ドリッパーHARIO V60を使用。レシピは中細挽きでグラインドしたコーヒー豆15gに対して92℃のお湯を225ml。コーヒー豆はスペシャルティグレードのエチオピア ナチュラル 中浅煎り。

 

中細挽き=コマンダンテで18〜26クリック
※その他のグラインダーを使用している方は「[完全保存版]コマンダンテの粒度(挽き目)調整方法」で紹介している写真を参考に。


通液性


HARIO純正
アバカフィルター

アバカフィルターの通液性の高さはさすが。HARIO V60の穴から落ちる液体の流れを見て欲しい(写真上参照)。HARIO純正フィルターは常に斜めに液体が流れ落ち、時折ドリッパーのエッジ部分をつたうようにして落ちるときもあった。また音を注意深く聞いてみると、流れが一瞬止まる場面もあり若干詰まっている印象。


それに対しアバカフィルターの方の液体の流れは常に一定。穴の中心から綺麗にサーバーに液体が落ちていく。液体がサーバーに落ちる音も心地よいほど一定。止まることも早くなることもなく、最初から最後まで同じ。何度やっても同じ結果になったのには驚き。

 

液色と濃度

HARIO純正
アバカフィルター

出来上がりのコーヒーの色に関しては大きな違いこそないが、アバカフィルターの方が若干だが透明度が高い印象。トータルの抽出時間はほぼ同じで、HARIO純正フィルターは2分45秒、アバカフィルターは2分40秒。

味は圧倒的にアバカフィルターで淹れたコーヒーの方がクリアでまろやか。それでいてフレーバーもフルーティさもあり、後味に掛けても甘さが残る。純正フィルターはやや過抽出気味の味わいで、濃度もやや高めのためフレーバーを少し感じにくい。アフターテイスト(後味)には収斂味を感じドライな印象。

 

アバカフィルターを使ってみての感想

両面に施された深いシワと、アバカの特徴である高い通液性により非常にスムーズな抽出ができた。僕自身、中細挽きにしてドリップをするのが好きなのだけれども、それは中細挽きだとコーヒーの持っているフレーバーや甘さを引き出しやすいから。

ただ、HARIOの純正フィルターだと過抽出気味になりやすいため、フレーバーや甘さと引き換えに過抽出にならないように少し粗めに挽いていた。


しかしアバカは中細挽きにしてもスムーズにカップに液体が落ちるため、果実味や甘さ、フレーバーを出しながらもとてもクリアーなコーヒーを抽出することができる。アバカフィルターは本当に良いフィルターであることは間違いない。そしてアバカフィルターと中細挽きの相性はかなり良い。

 

最後に

美味しいコーヒーを淹れようと思った時、コーヒー豆自体の品質や抽出方法にこだわることは現在では当たり前のようになってきている。だが次にこだわるべきはグラインダーの性能や、水質、そしてペーパーフィルター。液体が直接触れるもの全てにこだわることで、それに比例してカップクオリティは間違いなく向上する。

 

死ぬまでにあと何百回コーヒーを飲むことができるのか?と思い巡らせた時、できるならその内の一杯でさえも無駄にしたくないという気持ちになる。アバカフィルターを使えば品質の悪いコーヒーを最上級のコーヒーに変えるという魔法の効果はもちろんない。

 

しかし最高のコーヒーを淹れることへの大きな助けの一つとなってくれることは間違いない。小さな変化が大きな変化の一歩となる事をアバカコーヒーフィルターを使う事で実感できるはずだ。

 

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