[完全レビュー]浸漬式ドリッパーHARIO(ハリオ) スイッチを使ってみた感想

世界的なコーヒー器具メーカーとして名高い日本のHARIO社(ハリオ)が発売したコーヒードリッパー「スイッチ」を入手したのは3ヶ月前。

最近はORIGAMI(オリガミ)ドリッパーの形状による抽出時の自由度や面白さに魅了され、ORIGAMIドリッパーに浮気しがちだったが、また改めてスイッチを使ってみると、


「やはりいいな」と感じる。


と、しみじみ。スペシャルティコーヒーを扱うコーヒーショップでお馴染みのHARIO V60ほどの知名度はまだないが、一度スイッチを使った事があるプロのバリスタやコーヒーラバーからは「1つで2つの事ができるのでとても便利。」という高い評価の声をよく耳にする。

 

1つで2つの事ができる

 

本当にその通りでとても便利なコーヒー器具だなぁ、と僕もつくづく感じている。今回の記事ではプロのバリスタ目線で、HARIO スイッチの特徴と基本的な使い方を説明するとともに、HARIO スイッチにしかできない新しい応用的な活用法も合わせて紹介したい。

 

 
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スイッチの最大の特徴

スイッチ最大の特徴といったら、1台で2つの事ができること。その言葉が何を意味するのか、気になった人も多くいるはず。その意味はまさにコーヒーの2大抽出法である、

 

透過式抽出浸漬(しんし)式抽出

 

をHARIOスイッチ1つで実現できてしまうという事。

 

透過式抽出と浸漬式抽出は根本的に抽出プロセスが違うため、もし気分によって、もしくは表現したい味によって抽出方法を変えたいと思った場合、透過式ができる器具と、浸漬式ができる器具をそれぞれ別個で持っている必要があった。

 

例をあげると、透過式抽出ができる器具であればV60に代表されるような「ドリッパー」、浸漬式抽出ができる器具であれば「クレバーコーヒードリッパーやフレンチプレス」をそれぞれ購入しなければならない。

 

しかしHARIOスイッチを1つ持っていればその必要がなくなる

 

「スイッチ」と言うその名の通り、透過式抽出と浸漬(しんし)式抽出を指一本ワンタッチで切り替えられるのだ。これは今までありそうで無かった発想。1つで2度美味しいとはこの事。

 

HARIO(ハリオ)スイッチはオールインワンのハイブリッド型コーヒードリッパーといっても言い過ぎではないだろう。














浸漬式・透過式とはいったい?

さて、透過式抽出・浸漬式抽出という言葉はコーヒー好きやコーヒーを生業にしている人には馴染みのある言葉だが、初めて聞くという人も多いかもしれない。


そんな方のためにそれぞれどのような抽出方法なのか、浸漬式抽出器具の代表格といっても良い「クレバーコーヒードリッパー」と透過式抽出器具の代表格「V60」を例にとって説明していきたい。











 

浸漬式・透過式とは?

クレバーコーヒードリッパー 浸漬式 挽いたコーヒー豆とお湯を一定時間漬け込んで(浸漬)コーヒーの成分を抽出する方法
V60 透過式 挽いたコーヒー豆の層にお湯を掛けて、そこにお湯を通り抜けさせる事(透過)でコーヒーの成分を抽出する方法

 

 










浸漬式と透過式の特徴

クレバーコーヒードリッパー ・安定性・再現性が高くテクニックを必要としない手軽さ
・豆のキャラクター(個性)を出しやすい
・ボディ(液体の重さ)を出しやすい
V60 蒸らし時間を変えたり、湯の投数を変えたりするなどして、自由にコーヒーの味わいをデザインする事ができる楽しさがある

 













スイッチの仕組みを知ろう

弁が閉じている状態(浸漬式)
弁が開いている状態(透過式)
弁の役割を担っている玉が中央に見える

仕組みはとてもシンプル。プラスチック製の切り替えレバーを上げ下げして浸漬式か透過式かを選ぶだけ。


レバーを上げればボール状の弁が閉まり浸漬式ドリッパーに、レバーを下げればボール状の弁が開き通常のハリオV60と同じ透過式ドリッパーに早変わりする。


またドリッパー部分はゴム製のホルダーから取り外す事ができるので割れてしまった場合、別売の1〜4杯用のドリッパーに交換することも可能。これは便利。それでは次に実際にスイッチを切り替えて浸漬式・透過式の2つの抽出方法を試してみよう。

 
















コーヒーを淹れてみよう!

透過式バージョン

通常のHARIO(ハリオ)V60を既に今使用している方であれば、いつものレシピで同じ淹れ方をして頂ければ良い。初めてV60を使ってコーヒーを淹れる方であれば以下のシンプルで美味しいレシピを推奨したい。

 

中浅煎りや中煎りのスペシャルティコーヒーを使ったフレーバーと甘さにフォーカスしたレシピとなっている。もちろんこのレシピはあくまでも一例。慣れてきたらあなたのお好きなレシピで。

 

 









推奨レシピ

コーヒー豆  15g
メッシュ(挽き目) 中細挽き
湯量 225g
湯温  約93℃
蒸らし時間 1分
抽出時間  約3分30秒〜4分

 










 

 

まずはペーパーのリンスから

ペーパーフィルターを使用する時はペーパーフィルターのリンス(湯通し)しよう。無漂白(茶)より酸素漂白(白)のものの方がペーパー臭は少ないが、それでも出来上がり後のコーヒーから臭うペーパー臭はやはり気になってしまうところ。一手間掛かるがリンスは重要。またリンスは器具を温める役割もあることも覚えておこう。


オススメのペーパーフィルターはペーパー臭さもほとんど無く、通液性の高さが魅力のアバカフィルター。V60などの円錐型ドリッパーとの相性は抜群。

 

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レバーを上げた状態でリンスしてあげるとドリッパーを芯まで温めることができるのでおススメ。













お気に入りのコーヒー豆をグラインド

 メッシュ(挽き目)は中挽きより少し細めの中細挽き。今回は蒸らしの作業を含め、2投で注ぎ切るシンプルで簡単な「2投メソッド」で淹れる。

湯の投数が通常と比べて少ないため(通常は4〜5投)、中細挽きにする事で甘さとフレーバーを出す目的がある。コマンダンテであれば22〜26クリックの粒度が相性が良い。コマンダンテ以外のミルを使っている人は22〜26クリックがどのくらいの粒度か以下の記事でチェックしてほしい。

 

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挽いたコーヒー豆をセット

挽いたコーヒー豆をドリッパーにセット。投入後はドリッパーを揺らし、コーヒーベッドの表面が平らになるようにする。理由はコーヒーベッドの表面や層内部の密度が不均一だと蒸らしのお湯が粉に均一に行き渡らなかったりチャネリングという現象を引き起こしてしまう原因になってしまうため。

 

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蒸らし(1分)


30gのお湯を掛け蒸らしを行う。お湯を掛け終わった後の待機時間は1分。美味しいコーヒーを淹れるためには蒸らしの目的を知っておく事がとても大切。蒸らしの目的は以下の2つ。



 蒸らしの目的

①コーヒー豆に内在している二酸化炭素を排出するため。
②コーヒー粉にお湯を均一に行き渡らせるため。









 

 

 

基本的に蒸らしは30秒は必要といわれているが、2投メソッドの場合、30秒だと粉全体にお湯が行き渡るのに不十分だと感じるので1分の蒸らしが最適
















2投目

中央から外側、外側から中央へを繰り返しながら、30秒から45秒くらい時間を掛けて195gのお湯を注ぎきる。(=スケールのg表示が225gになるまで注ぐ)。


V60の場合、ドリッパー内のコーヒー層は中央が一番深く密度が高くなるので、外側に比べ中央をやや多めに注ぐのがポイント。そうすることで粉一粒一粒から均一に成分を取り出しやすくなる。













 

Rao Spin(ラオスピン)をする

1分45秒経過後にドリッパーを三回ほどクルっと回しラオスピンをすることで外側に張り付く粉を落とす。抽出時間約3分30〜4分ほどでドリッパー内のお湯が落ちきればそれが抽出完了の合図。

 

ラオスピンの「ラオ」はScott Rao氏の名前から取られたもの。Scott Rao氏はコーヒー業界では知らない人がいないほどの著名人。理論的に抽出や焙煎を学ぶことができるプロ向けの本も書いている。

 

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上の写真のように壁に粉が残らず全ての粉が下に集まって平らになっていれば、2投メソッド成功。簡単で且つ、甘さや質感の伴ったコーヒーに仕上がるのでおすすめ。


より詳しく知りたい方は以下のリンクで抽出方法を説明した記事があるのでそちらを参照して頂きたい。

 

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コーヒーを淹れてみよう!
◆浸漬式バージョン◆

クレバーコーヒードリッパーと使い方は全く同じ。クレバーコーヒーを使ったことがある人はクレバーコーヒードリッパーを使うのと同じ要領でコーヒーを淹れればよい。


コーヒーリテラシー推奨レシピは以下の通り。微粉の発生が少ないコマンダンテやEK43(業務用)との相性は抜群のレシピ。とてもクリーンで甘く、のんびりとした朝の起き抜けに飲みたい後味スッキリなコーヒーに仕上がってくれる。



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推奨レシピ

コーヒー豆

 15g

メッシュ(挽き目)

 中挽き
湯量 225g
湯温  93℃
抽出時間  4分










 

 

まずはペーパーのリンスから

ペーパーフィルターのリンスの仕方は前述したのと同じなのでそちらを参照。ペーパーフィルターはプロも愛用しているアバカフィルターがおすすめ。

 

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お気に入りのコーヒー豆をグラインド

メッシュ(挽き目)は中挽きを使用。4分間ドリッパー内で浸漬させるため、細かすぎるとアフターに渋さが目立ったコーヒーになってしまう。コマンダンテユーザーは32〜36クリックくらいの粒度を使うとよい。

 

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一気にお湯を注ぐ

躊躇なく225gの湯を注ぐのが最大のポイント。

お湯を一気に注ぎTurbulence(乱流)を起こすことでドリッパー内でコーヒー粉は舞い、粉の粒の360度にお湯が接触し、一粒一粒から均一に成分を抽出しやすくなる。そのあとは4分経過するまで待機するのみ。

 













ブレイクして濾過開始

4分経過したら浮いている表面の粉を3回軽くブレイク(攪拌)してからレバーを下げ、濾過を開始。ドリッパー内の湯が全て落ちきれば完成。飲んでみて、もし味が薄いと感じれば粒度を少し細かくして調整すると良い。 















とてもクリーンで綺麗な味のコーヒーが出来上がった。紅茶のような感覚で飲めるので個人的に中煎り程度の浸漬式抽出は好み。

 












スイッチにしかできない事

スイッチは上記で説明したようにただ透過式と浸漬式をワンタッチで切り替えるだけの器具ではない。実はスイッチにはスイッチにしか実現できない革命的な抽出方法がある。通常モデルのV60にもクレバーコーヒードリッパーにもできない、HARIO(ハリオ)スイッチだからこそできる応用的な活用法を紹介したい。


ポイントになるのは、ワンタッチでリアルタイムに浸漬式・透過式を行き来できるという点。その利点を最大限に利用すれば蒸らしの時だけ浸漬式にすることができるのだ。これは従来のV60には不可能な方法。


豆が硬く湯が粉に浸透しにくい浅煎りのコーヒー豆は、やはり最初の蒸らしが超重要。蒸らしの際にレバーを上げ、湯を落とさないようにし浸漬させ蒸らす。蒸らし作業が終わったらレバーを下げ弁を開いてあげることで2投目からは通常のV60にすることができる。


今までより簡単に浅煎りコーヒー豆を攻略することができるとても有効な方法。また、このやり方の他に2投目、3投目を浸漬させたりなど、沢山のバリエーションを作り出すことができる。

 

あぁ、なんて面白んだろう。。

 

普段V60を毎日愛用しているV60ヘビーユーザーにとって抽出オプションがさらに増えることで、今まで以上に味わいを細かくデザインする事ができるのだ。スイッチさえあれば他にはいらない、そう思わせてくれる魅力がスイッチにはある。

 














あなたの疑問に答える Q & A

フタは付いてるの?

クレバーコーヒードリッパーに付属しているようなフタはHARIOスイッチには付いていない。ただ僕はクレバーコーヒードリッパーでコーヒーを抽出する際でもフタは使用しない。理由はガスを籠らせたくないため。元々フタを使用しない人はフタが付属していなくても困る事はないだろう。










ペーパーフィルターは円錐?

僕がHARIOスイッチがいいなと思っているのはここ。透過式で抽出する場合でも、浸漬式に切り替えてもどちらも円錐フィルターが使えるところ。クレバードリッパーは台形フィルターを買わないといけないので、この点はHARIOスイッチに軍配が上がる。

 










メンテナンスは大変?

新しいコーヒー器具を買う際にメンテナンスや手入れの楽さは重要な要素の1つ。HARIOスイッチは特別なメンテナンスは必要ない。使用後はドリッパー部分とゴム製のホルダー部分を外し水で洗って乾かすだけ。












 

HARIO スイッチはこんな人におすすめ

こんな人におすすめ

■ 1つで透過式抽出も浸漬式抽出も楽しみたいという人
■ もっとコーヒーの味わいを細かくデザインしたい人
■ バリスタとして差別化を図りたい人
■ 浅煎りのコーヒーをもっと上手く淹れたい人















最後に

この記事を通してスイッチの魅力が伝わっていたらとても嬉しい。まだまだ店舗などで導入しているところは多くないため外で見る機会は少ないかもしれない。


ただ、自宅に一台「オールインワンの便利なコーヒードリッパー」が欲しいと思っている人や、他のバリスタや店舗とコーヒーの味わいにおいて差別化を図りたいというコーヒーマンは一台持っておいても絶対に損はないだろう。


間違いなくHARIOスイッチはあなたを「コーヒー抽出のさらに向こう側」に連れていってくれるだろう。