プロのバリスタがコマンダンテとZproを徹底的に比較してみた【レビュー】

業務用最強グラインダーと名高いEK43や手回しミルの名機として知られるザッセンハウスなどを生み出した「職人の国 ドイツ」が生んだ「Comandante C40 (コマンダンテ C40)」。

 

バリスタの世界チャンピオンを輩出した事を皮切りに近年コーヒー文化の隆盛が目立つ隣国・台湾が生んだ新進気鋭のコーヒーミル 「Zpro」。

今回はこの素晴らしい2つの高級手挽きミルを徹底的に比較してみた。

 





デザイン性

■ コマンダンテ

カラーバリエーションは数種類あり、僕が所有している「Comandante C40 ウェンジ」は木の温もりを感じさせてくれ、味がある風合い。手挽きミル史上最高峰と謳われる高い機能性とナチュラルなデザインのギャップがとても良い。

 

■ Zpro

カラーバリエーションこそ無いものの、無機質なデザインがクール。Apple製品のような無駄を削ぎ落としたミニマムなデザインが好きな僕にはドンピシャ。近代的な佇まいはインテリアとしても映える。










本体の素材

コマンダンテ

ボディ、刃を支える軸、ハンドル、ボールベアリングなどほとんどの部品はステンレス鋼でできている。これは彼らが「堅牢性の高いコーヒーグラインダーに最も適している素材はステンレスである」と考えているからだ。

 

特に握りしめるボディ部分は、グラインド時の安定性としっかりとしたグリップを実現させるためにステンレスが最も適している。ボディは一見木製に見えるがステンレスの上から本物の木のレイヤーをラミネートしている。











またコーヒー豆が触れる内部のパーツはアメリカのイーストマン社が開発したトライタンコポリエステルを使用している。

 

トライタンコポリエステルはプラスチック製品に含まれる人体への悪影響を及ぼす有害物質「BPA(ビスフェノールA)」が含まれていない「BPAフリー」の素材であり、その非毒性に加え、耐熱性、耐衝撃性も高く強靭である。

 

オーストラリア生まれの革命的なコーヒー器具「デルターコーヒープレス」にもこの素材は使われている。欧米の製品はこういう意識が本当に高くて感心してしまう。

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Zpro

ステンレス鋼とアルミニウム合金がZproの基本的な材料となっている。ボディや粉受けにはアルミニウム合金、その他のパーツはサビに強いステンレスが使用されている。またベアリングには食品グレードのものを使用しており安全性にも考慮している。










刃の素材

コマンダンテ

ポーレックスなどの従来の手挽きミルの刃はセラミック製(陶器)が多かった。しかしコマンダンテとZproはどちらもセラミック製を採用せず、より切削性の高い素材を使用している。

特にコマンダンテの刃の素材ははっきり言って究極と言って良いだろう。高硬度で耐摩耗性が高いマルテンサイト系ステンレス鋼に、耐食性を向上させるための窒素を添加した「高窒素マルテンサイト系ステンレス鋼」を採用。これがNitro Blade(ニトロブレード=窒素の刃)と呼ばれる所以だ。

この高窒素マルテンサイト系ステンレス鋼は非常に優れた素材だが、金属ブロックを1からカットして鋭い刃に成型するには特別な機材や工具、そして熟練の職人が必要となる。そのため需要に対して供給が追いついていないのが残念なところではあるが納得はできる。

優れたグラインド処理能力を実現するためにニトロブレードは職人によってカットされ、最終仕上げではZ刃の先端に極小の切れ込みを入れ鋭利なバリに仕上げている。これにより、従来の手挽きミルの「すりつぶす」とは全く違う、サクサクと「カット」する刃が完成するのだ。

加えてニトロブレードの表面は不活性のため、近年の高品質なスペシャルティコーヒーのアラビカ種を挽く際でも、コーヒーの持つ酸性に対して化学変化が起こることはなく、コーヒー本来の風味を損なうことがないのも大きな特徴。

そして彼らはこの強靭で耐腐食性に優れた鋭い「ニトロブレード」に対して特許を取得している。彼らの刃に対してのこだわりは尋常ではない。










Zpro

心臓部の刃は粘りと強度に優れた特製ステンレスを使用。刃に重量があるため粉砕時のブレが少なく精度の高いグラインドができるのが特徴。また刃の表面には特殊な処理が施されており耐食性と耐久性をアップさせている。










ハンドルノブ

■ コマンダンテ (写真左)

素材には重厚感があり、硬く耐久性に優れた100%天然のオーク材が使用されている。またハンドルノブの形状はグラインド時に快適でしっかりとした感触が得られるように設計されている。

逆三角形になっておりとても握りやすく力を掛けやすいところが個人的に気に入っている。またボディを含めた木製部分には安全性の高いワックスオイル処理が施されている。

 

■ Zpro (写真右)

ハンドルノブのサイズは100人のテストによって導かれた、「握りやすく力がしっかり伝わるようなボール型の設計」となっている。何度も試行錯誤を繰り返しただけあってすっぽりと心地よく手の収まりが良い。 

 

 個人的にはコマンダンテのノブの方が手にフィットするかな










ハンドルの長さ

ステンレス部分の長さ

■ コマンダンテ・・・10cm
■ Zpro・・・11cm










シャフトからハンドルノブの距離

ステンレス部分のみの長さは1cmの差でさほど変わらない。ただ実際にコーヒー豆を挽くときに重要なのはその長さではなく、シャフトの中心部からハンドルノブの先端までの距離



 シャフトの中心部からハンドルノブの先端までの距離 

■ コマンダンテ・・・13cm
■ Zpro・・・15cm

 

 

この長さがグラインドにどのような影響を与えるかは後で説明したい。










重さ

■ コマンダンテ (写真左)

重さは約615g。コマンダンテを始めて持ち上げた時、それまでポーレックスを使っていた僕には若干重く感じたが、使い続けていくとこのくらいの重量の方が安心感と重厚感、さらには高級感も感じられて今ではとてもいいなと思っている。

 

■ Zpro (写真右)

重さは約660gでコマンダンテより約50g重い。アウトドアでは風で倒れたりするリスクがある事を考えるとどちらもこのくらい重いほうが安心ではある。










フィット感

■ コマンダンテ

Zproより若干太さはあるがフィット感はGood。持つと手の平にひしひしと感じる重厚感と堅牢感が個人的に好み。

 

■ Zpro

スリムなフォルムが特徴でフィット感も良い。中指と親指がくっついてしまうくらいスリム。手の小さい方でも問題なくフィットすると思う。

 

 コマンダンテはガシッ、Zproはスッポリって感じかな











挽き目調整ダイヤルの位置

コマンダンテ

ポーレックスや他社の手挽きミルと同じで内部に調整ダイヤルがあるオーソドックスなタイプ。粒度を変更したい時は一度粉受けを外してからダイヤルを回さなくてはいけないので少し面倒。










Zpro

Zproの調整ダイヤルは外側にある。これがZproの最大の魅力と言っても良いだろう。これには本当に感動した。外部の調整ダイヤルはすぐに挽き目を変えられるのでとても便利。また番号が振られているので、番号と挽き目の関係が一目瞭然。他社も今後新しい手挽きミルを開発する時はぜひこの方式を採用してほしい。

 

 これははっきり言って革命的!










粒度段階

■ コマンダンテ

粒度段階は90段階くらいまでありそうだが、実際に使用するとなると55段階くらいが現実的な範囲だろう。エスプレッソからフレンチプレスまで幅広い粒度設定が可能。「[完全保存版]コマンダンテの粒度(挽き目)調整方法」で詳しくコマンダンテの粒度に関して説明しているので参考にしてほしい。

 

■ Zpro

粒度段階は60段階。もしエスプレッソ挽き(極細挽き)を普段使わないなら、0点(ゼロ点)を中細挽き程度に調整しても良いだろう。0点を好きな位置に調整できるのもZproの良いところ。

 

 どちらともエスプレッソ細挽きからフレンチプレス粗挽きまで対応しているのはいいね










一度に挽ける量

投入可能量 

■ コマンダンテ・・・約45g(3〜4杯分)
■ Zpro ・・・約25g(2〜3杯分)

 

 焙煎度やコーヒー豆の種類によって多少グラムの変動はあるよ











豆の投入口はコマンダンテの方が若干大きいのでこぼさずに入れやすい。 











グラインドスピード

グラインドスピード(15gのコーヒー豆を使用)

 

■ コマンダンテ・・・平均約36秒  
■ Zpro・・・平均約33秒  

 

3回繰り返し行い、Zproの方が平均で約3秒早いという結果に。











Zproはベアリングが3つ内蔵されており、コマンダンテより一つ数が多いため滑らかにハンドルを回転できるのが理由だろうと思ったが、実際挽く時のハンドルの滑らかさはどちらもさほど大きく変わらない。疑問に思ったので回転数を測ってみた。すると以下の回転数で15gを挽き切ることができた。



■ コマンダンテ・・・ 50回転
■ Zpro・・・42回転



つまり一回転で挽ける量が単純に違うのだ。刃と刃の間に噛む豆の量がZproの方がやや多いからであると推測している。

 

ベアリング・・・回転するものの軸を支える機械部品。回転を滑らかにする役割がある。










疲労感

■ コマンダンテ

ベアリングの数こそZproに劣るが、ボディの直径が大きく手の平全体を使ってガッチリと持つことができるので安定感がある。またニトロブレード(刃)の切れ味が鋭いためハンドルを回すとサクサクと豆を切ってくれる。そのため疲労感はそれほど感じない。

 

ハンドルの回しやすさはややZproの方が良いが、硬い浅煎りを挽く際にコマンダンテのニトロブレードは本領を発揮する。サクサクと豆をカットしてくれるのでハンドルの引っ掛かりがほとんどない。ハンドルの回しやすさは刃の性能と連動しているというのがよく分かる。

 

弱い力でグラインドできるので、ボディは多少大きめだが逆に女性にもコマンダンテはおすすめだと思う。

 

■ Zpro

3つのベアリングと一回転で挽く豆の量もコマンダンテに勝り、心地よくグラインドすることができるが、長いハンドルが若干弱点な気もする。スリムなボディを握りながら長いハンドルを回すと、ボディを持っている手が若干持っていかれそうになる。


そのためボディを安定させるためにはしっかりと握りしめる必要があり、その持ち手の疲労感はコマンダンテよりやや大きい。特に手首の疲労感を感じる。


また刃の切れ味がコマンダンテより若干劣るため、硬い浅煎りを挽く際は回すハンドルの引っ掛かりが多少あるのでより力を要する。










粒度比較

美味しいコーヒーを作る上で粒度の均一性はとても大切。両機の粒度を細挽き、中挽き、粗挽きの3段階を拡大写真で比較してみた。










細挽き

まずは細挽きから。どちらも粒度に高い均一性を見せている。この粒度帯はどちらも素晴らしい。 










中挽き

次は中挽き。これもどちらも素晴らしい均一性。ややコマンダンテの方が優勢










粗挽き

手挽きミルは基本的に粗挽きに弱い。粗挽きになればなるほど粒度に乱れが出てくるが、この粒度帯でも相変わらず均一性を保っているのがコマンダンテ。ため息が出るほど素晴らしい。もちろんZproも他の中堅クラスやエントリークラスの手挽きミルと比較したら高い均一性を誇っているのは間違いない。

 

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微粉量

正確にはコーヒーにおける微粉は100ミクロン以下の粒子のことを指すが今回は目の細かい茶こしをすり抜けたもののことを微粉としている。茶こしを30回上下に振った結果が以下の写真になる。 









細挽きで挽いた時の微粉量比較

まずは細挽きから。粗挽きに比べ細挽きは粉同士が密着しているので茶こしの中での動きが少なく微粉が出てきづらい印象があったが、30回上下に振った結果コマンダンテの方が微粉は少なかった。 










中挽きで挽いた時の微粉量比較

次は中挽き。この粒度帯ではさほど微粉の量は変わらない。










荒挽きで挽いた時の微粉量比較

最後に粗挽き。この粒度帯では明らかにコマンダンテの方が少ない。粗挽きを使うフレンチプレスなどの浸漬式の抽出方法では微粉が味わいに悪影響を与えることも多い。浸漬式抽出ではコマンダンテで挽いた方がよりクリーンな味わいになるだろう。









付属品

コマンダンテ

2つの粉受けが付いており、黒い方は遮光瓶になっている。約40g(コーヒー3〜4杯分)のコーヒー豆が入り、持ち運びに便利。また蓋部分はUrochem371という再生可能な天然資源から作られており、リサイクルも可能。










Zpro

ご丁寧にブラシとミニエアダスターが付いていて感動。この二つを使ってミル内部や刃に付着した粉をきれいに掃除できる。コマンダンテは掃除ツールが付属しておらず、別で買う必要があるので自分の好みのものを購入しよう。


ちなみに僕はコマンダンテもZproもエアダスターは使わず、ブラシのみで掃除する派。エアダスターは乾いたチャフや大きな粉はある程度取り除けるが、細かい側面に付着した微粉まではきれいに取り除けない。もし購入検討している人は以下のAmazonリンクを参考に。


その他Zproには本体の滑り止めとして装着するグリップベルトと持ち運び時に便利なポーチも付属している。素敵だ。

 

 









手入れのしやすさ

ミルの毎日の手入れが簡単なのは購入条件の一つとして必ず上がる項目。それでは比較していこう。




コマンダンテ

分解も楽で、部品の数も少ない。部品の数が少ないということは手入れも簡単だということ。別売りのブラシで刃の部分と本体の内部の粉を掻き出すようにして掃除し、1ヶ月に一回ほど専用固形洗浄剤アーネックスでクリーニング。

 

そしてたまに木製部分に蜜蝋ワックスを塗り込むだけでいい。詳しい手入れ・メンテンナンスの仕方は「[簡単綺麗]5分で出来るコマンダンテの手入れ・掃除方法」で詳しく紹介している。

 

組み立ても力を必要とせず楽だが、一つ気を付けなければいけないのは鋭い刃のため刃の組み立て時は指を切らないように注意が必要










Zpro

部品の数がコマンダンテと比べると多く、分解・組み立てが少しだけ大変。また0点合わせが少し面倒なのと、位置決めつまみをはめる時にはしっかりと押す力が必要になり男の僕でも割と力を使う。










また上の写真の矢印部分を反時計回りに回せば本体と刃が取れるのだが、緩みによる粒度の均一性の低下を防ぐために接続部分は製造段階において精密に作られている。

 

そのため一度硬く閉めてしまうと取れにくくなってしまうので注意。組み立て手順に関しては付属の説明書を見ながら一つ一つ組み立てしていけば全く問題ないだろう。










それぞれの気に入っている所

 コマンダンテ 

■ ニトロブレードによる最高の切れ味
■ コーヒー豆の投入口の広さ
■ 疲労感が少ない
■ ナチュラルな風合い

 Zpro

■ 外側に付いている粒度調整ダイヤル
■ ドリッパーに粉を入れやすいアルミ製の細口粉受け
■ 近代的なデザイン










最後に

今回は手挽きミルの2大最高峰「コマンダンテC40」と「Zpro」を比較してみた。やはりどちらも機能性、デザイン性共にかなり優れている。中堅クラスの手挽きミルと比較するとこの二つに敵うものは現時点では存在しないと言い切っても良いだろう。

どちらも少し価格が高めではあるが、一台持っていればずっとこの先美味しいコーヒーを自宅で飲めると考えたら安いもの。この記事があなたの購入の助けになれば幸いだ。

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