「美味しいコーヒーを淹れるのに一番大切なことは何か?」
と質問されたらプロのバリスタになる前の僕であれば「高品質のコーヒー豆」と答えただろう。確かに適切なレシピで淹れた高品質のコーヒーはとにかく美味しい。
ただもし、高品質なコーヒー豆に古いコーヒーの粉が数グラムでも混入してしまったとしたらその味わいはどうなるだろうか。その美味しさは確実に損なわれてしまうだろう。
一度、コーヒー豆を挽いた直後にコーヒーミルの中を上から覗き込んでみてほしい。特に刃の付近に粉やチャフ(薄皮)が残っているのが分かる。
掃除をせずにこれをそのままにしておくと日に日に酸化が進み、次回ミルを使用するときに新しく挽かれたコーヒー豆と共にその酸化した粉が排出されてしまう。
せっかくの挽きたてのコーヒー豆も台無しである。
そのため常に美味しいコーヒーを淹れるひと手間としてミルを使用した後はぜひ必ず内部の掃除をしてほしい。ただ毎回分解掃除をするのは億劫であるのも事実。僕自身も分解掃除をするのは月に一回くらいなもの。
「分解せずにぱぱっと手軽に掃除できる器具はないだろうか?」
そんな願いを実現してくれる優れもののツールが実は存在する。それがエアブロアーだ。このツールを購入してからはずっと手放せずにいる。
自宅ではコマンダンテに、仕事場ではEKやDittingなどの業務用グラインダーにも使用している。もちろん、みるっこやナイスカットミルなどの家庭用電動ミルにも使用可能。
使っていてつくづく便利なツールだなと思う事が多いのでぜひ今回シェアさせていただきたい。
※もし分解掃除をする場合はコマンダンテを例に挙げ解説している記事があるのでそちらも参考にしてほしい。
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■ 手挽きミル内部の掃除に困っている人
■ 電動ミル内部の掃除に困っている人
■ 手軽にミルの掃除をしたい人
エアブロアーとは?

エアブロアーは元々カメラ用の掃除ツールとして開発されたもの。
強力なエアーの力を使いレンズやセンサーに付着した埃を吹き飛ばすクリーニング用品の一種である。カメラ以外にもパソコンのキーボードや手入れしづらい箇所に付着した埃やゴミを除去するのにも使える。
エアブロアーのように巷にはコーヒー用として転用可能なツールというは意外に隠れているのでそういうのを自分で見つけ出すのも楽しい。以下の記事で紹介しているマドラースプーンもその一つ。ご参考までに。
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実際に使ってみよう

今回はAkineko製のブロアーを紹介する。Akinekoのエアブロアーはノズル部分が長いのでブラシや指が届かない箇所にもピンポイントに狙いを定めることができるのが特徴。
短いノズルだと掃除能力が限定されてしまうのでAkineko製のような長いノズルの商品を選ぶことをおすすめする。
空気の力で粉を吹き飛ばす

ブロアーを使う前に上のように刃と刃の間隔は開けておこう。そうすることで通り道ができ隙間から粉がスムーズに排出される。

ブラシでは届かない箇所に強力なエアーを送り込み内部に滞留している粉を吹き飛ばしていく。

刃の付近に一番粉が滞留するのでここを目掛けて何度か繰り返しながら風を吹きかけていこう。

上の写真を見るとかなりきれいに除去されたのが分かる。エアーを内部に送り込むたびに粉が除去されていくのを見るのはとても快感。
ブラシで粉を取り除く


空気圧で落としきれなかった箇所は最後にブラシを使って綺麗にしていく。今回紹介しているAkineko製のブロワーには先端に装着可能なブラシのアタッチメントが付属しているのでそちらを使っていく。

細かな微粉は空気で除去しきれず側面にへばりついていることが多いのでブラシを細かく動かして取り除いていく。

エアーとブラシの両方を使うことでかなり綺麗になった。とても嬉しい瞬間。

取れた粉をかき集めてみると0.2gほど。0.2gというと少なく聞こえるかもしれないが味に与える影響は計り知れない。
ブロアーに付属されたブラシでも十分粉を除去できるが、もし器具にこだわりがあったりきちんとしたものを使いたいならカリタのコーヒーミルブラシがおすすめ。
掃除後は立てて保管

使い終わったら立てて保管しよう。コロコロしたブロアーを寝転ばせて置いておくと転がってどこにいくかわからないので立てて保管できるようになっているのは商品として好印象。
今回のAkineko製に限らず基本的にエアブロアーは自立型タイプのもの多いが、ブロアー購入時には自立タイプかどうか事前に確認するとよい。

保管に場所を取らなくてよいのに加え、お気に入りのコーヒー器具と一緒に並べてインテリアとして楽しむこともできる。その場合はカラーや形状など自分の好みのメーカーのものを選ぼう。
使用時の注意点
使う場所は選ぼう
ブロアーは空気圧で粉を吹き飛ばすのでテーブルの上でやるとテーブルが粉で汚れてしまう。そのためシンクの中、もしくはベランダなど粉が舞ってもよい場所で使うのがおすすめ。
深煎りには別の対処法
深煎りのコーヒー豆は浅煎りに比べ油分が多い。そのため空気の力では取り除けないケースもある。その場合はアーネックスなどの洗浄タブレットを使用するとよい。
分解せずに刃にこびり付いた古いコーヒー粉やコーヒーの油を取り除くことができる優れもの。原料はオーガニックの大豆やトウモロコシなので安全性も高い。
使い方は以下の記事で紹介している。
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美味しいコーヒーは清潔な道具から

美味しいコーヒーは清潔な道具から。高品質なコーヒー豆、適切なレシピに加え清潔な道具で淹れられたコーヒーはやはり格別に美味しい。
ただそれが分かっていても日々のメンテナンスはやはり面倒なもの。だからこそ簡単に手軽に短時間でお手入れできるツールというのは嬉しい。
エアブロアーはそんな面倒くさがりな人にこそぜひ使ってもらいたいツールだ。