「ハンドドリップを始めてみたいけどなんだか難しそうだな・・。」
こんな風に思っている人は意外にもとても多い。確かに実際ハンドドリップで美味しいコーヒーを抽出するのはなかなか難しいもの。
僕自身も生まれて初めてのハンドドリップは大失敗に終わってしまった経験がある。なぜなら美味しいコーヒーを淹れるには挽き目、湯と粉の比率、湯温、注湯回数、抽出時間、そして注ぎ方など、色々と気にかけなければいけないポイントが多すぎるからだ。
そうなってくると頼りになるのは全自動のコーヒーメーカー。ボタンを押すだけでコーヒーが抽出できるので簡単且つ便利。しかしボタン一つでコーヒーができてしまうのはなんだか味気ない・・・というのも事実。
「自分もプロのバリスタと同じようにハンドドリップで美味しいコーヒーを淹れてみたい!」
実はそんな初心者の願いを叶えてくれる器具がHARIOから新しく発売された。それが今話題沸騰中の「MUGEN」というドリッパーだ。果たしてどんなドリッパーなのか?気になったので、購入して実際に使ってみた。
結論から言うとMUGEN、かなり良い。
■ これからコーヒーを趣味で始めたい人
■ ハンドドリップ初心者
■ アウトドアでコーヒーを楽しみたい人
MUGENの凄いところ

MUGENの凄いところはテクニックを一切必要としないところ。誰でも手軽に買った初日からドリップコーヒーを淹れることができる。しかもちゃんと美味しい。
従来のHARIO V60ドリッパーを使い、美味しいドリップコーヒーを淹れるためにはある程度の知識やテクニックが必要となる。
だがMUGENはそんなドリップコーヒーの小難しさを一切排除し、誰でも最初からドリップコーヒーを手軽に淹れることができる。言わば魔法のドリッパーなのだ。
ではなぜそんなことが可能なのか?
一回抽出という革新

テクニック要らずでドリップコーヒーを抽出できる最大の理由は何か?それは、
「一回抽出」
これは革新である。従来のHARIO V60ドリッパーでは、蒸らし工程を含め、お湯を何回かに注ぎ分ける必要がある。それがドリップを難しくさせている要因の一つでもある。
しかし、MUGENではその難しさが一切排除され、規定量のお湯を一回で注ぎ切るだけで誰でも美味しいコーヒーを淹れることができるのだ。もちろん蒸らしの工程も必要ない。
なぜ一回抽出が可能なのか?
なぜMUGENそんな事が可能なのか?それはドリッパーの内側に秘密がある。
MUGENドリッパーの内側

仕事柄、今まで様々なドリッパーを見てきたがこんな形状の溝がドリッパー内側にあるのは初めてだ。上の写真を見て分かるように星型の浅い溝がある。
ペーパーフィルターがドリッパー内側にぴったりと張り付き、お湯がゆっくりと溝をつたって落ちていくため、一回のみの注ぎでもしっかりとお湯とコーヒー粉が接触し、コーヒーの持つ成分を十分に引き出してくれるのだ。
Hario V60 の内側

上の写真を見て分かる通り、HARIO V60の内側には上から下まで凸状のリブが入っている。もしこのHARIO V60で一回抽出をした場合どうなるか?
結果はコーヒーの成分をしっかりと引き出せない未抽出のコーヒーに仕上がる。その理由は内側のリブとペーパーフィルターの間に隙間ができるため、MUGENと違い湯の抜けが早いためだ。
V60は注湯スピードとコンタクトタイム(コーヒーとお湯が接触する時間)の連動性が高いため抽出の自由度が高い分、中級者〜プロ向きのドリッパーと言っても良い。
初心者の場合は、簡単で手軽にドリップコーヒーを抽出できるMUGENからまずは初めてみよう。もっと自分の好みの味わいを表現したいと思うようになったらV60にトライするという流れがベストだろう。
それよりさらに高度なテイストデザインをしたい場合はORIGAMIドリッパーが控えている。
ハンドドリップは長年HARIO V60を使っていたのだけどついにゲットした。 そのドリッパーの名前はORIGAMI(オリガミ)。折り紙のようなデザインから付けられた秀逸なネーミングセンスもさることながら、その使い心地は、、、 […]
実際に抽出してみよう!
中細挽きで挽く

20gのコーヒー豆を中細挽きに挽く。上の写真はコマンダンテを使用し20クリックでグラインドしたもの。
手挽きコーヒーミルは国内・国外にて様々なモデルが開発・販売されている。 ■ ポーレックス(Porlex)■ Zpro(ジープロ)■ Timemore(タイムモア)■ Kinu(キヌ) M47 など高品質なモデルが各社で続々と発表されている群[…]
リンス

ペーパーフィルターをリンスする。理由は2つ。一つ目の理由はペーパー臭さの除去。二つ目の理由は本抽出のお湯がペーパーフィルターに吸い取られないようにするため。リンスしたお湯を捨てるのを忘れずに。
粉のセット

ドリッパーに粉をセット。ドリッパーを軽く揺すり、粉を平にする。
湯の注ぎ

240mlのお湯を40〜45秒ほど掛けて円を描きながら注ぐ。中央から外、外から中央を2往復しよう。
お湯の温度は焙煎度合いによって変わるが浅煎りであれば90〜93℃、深煎りであれば85℃付近のやや低めで。正確な湯温でドリップしたい場合は温度調節機能付きケトルがおすすめ。
世界中のトップバリスタの多くが使用している事で注目を浴び、今や電気ケトルNo1の呼び声が高いBrewistaのケトル。 湯温を測るのに温度計を使うのがいつも煩わしく感じていたのと、Brewista製品がずっと欲しかったので購入してみた。単刀[…]
ラオスピン

240mlのお湯を注ぎ終わったら、ドリッパーを両手で持って軽くスピンさせよう(ラオスピン)。そうすることでコーヒーの成分を均一に抽出できる。より美味しいコーヒーを作るコツだ。
抽出終了

抽出が完了。1分45秒〜2分くらいの間で全てのお湯が落ちきればOK。もしこれより早い場合は挽き目を細かく、時間がかかりすぎてしまう場合は挽き目を荒くしてコントロールしよう。
完成

完成。「こんなに簡単でいいのだろうか?」と思うくらい手軽に本格的なドリップコーヒーが抽出できた。味もしっかりと美味しい。一回抽出のためすっきり軽やかなコーヒーになるのもMUGENの特徴。
片付けも簡単

抽出が終わったらペーパーフィルターの端をつまんでゴミ箱へ。

ホルダーを外し、軽く柔らかいスポンジで洗って乾かすだけで片付けは終了。毎日淹れるコーヒーだからこそ器具の片付けが簡単なのは嬉しい。
MUGENの良いところ
良い点1 プレゼントに最適

MUGENは手軽にコーヒーを淹れたい初心者の方が自分で使う以外にも別の用途として活躍する。テクニックが一切必要ないのでこれからコーヒーを始めたいと思っている人に贈るプレゼントとして最適。
僕は両親にプレゼントしたい。両親は「コーヒーは好きだから自分で淹れてはみたいけど実際に美味しいコーヒーを淹れるのは難しいから・・」といつも妥協してインスタントのコーヒーを飲んでいる。
いつもインスタントコーヒーで我慢している両親にプレゼントしたらきっと喜んでくれるだろう。手軽に抽出できるのでプレゼントしたその日から美味しいコーヒーを楽しんでもらえる。またギフトとして価格も手頃なのも良い。

一回抽出なので複数回に分けて抽出する際のケトル内の温度低下は気にする必要はない。そのため大それたケトルを使わなくてもプラ製のドリップケトルエアーが重宝する。

一回抽出のMUGENとドリップケトルエアーの相性は抜群だと個人的には思う。MUGENと一緒にプレゼントしてあげたい。
良い点2 アウトドアに最適
「一投式で簡単だけどセラミック製だからアウトドアには向かないのでは?」
と思うかもしれない。実はMUGENはセラミック製の他に樹脂製バージョンも販売されている。軽く、割れて粉々になる心配もない。
スケールでいちいち湯量を測る煩わしさも無く、沸騰したお湯を移し変えて注ぐことができる。MUGENとドリップケトルエアーの2トップでアウトドアでも手軽に最高のコーヒーを楽しめる。
最後に

コーヒーをこれから始めようと思っている人のためのドリッパー「MUGEN」を今回は紹介した。使ってみてわかったのは本当に簡単にテクニック要らずでコーヒーが抽出できるということ。MUGENを使うことで多くの人のコーヒーライフが今より向上することを願っている。