プロのバリスタがTIMEMORE nanoとコマンダンテを徹底比較してみた【レビュー】

「手挽きミルに3万円以上掛けるの厳しいけど、安価なミルでは満足できない。」

そんな風に思っている人はかなり多い。そんな時に頭にまず思い浮かぶのがミドルクラスでコストパフォーマンスが高いと言われている「TIMEMORE」のミルだろう。


その中でも最も人気が高いTIMEMORE nano(タイムモア ナノ)を今回紹介したい。手挽きミルの最高峰と名高いコマンダンテと比べてTIMEMORE nanoはどのくらいの実力があるのか検証してみた。

この記事がTIMEMORE nanoの購入を検討している方の参考になれば幸いだ。

 

 

デザイン性

 デザイン性

コマンダンテ   質実剛健
♦ TIMEMORE nano  スタイリッシュ

 

♠ コマンダンテ

スタイリッシュという訳では決してないがドイツ製らしい質実剛健な佇まいがやはりコマンダンテの魅力と言えるのではないだろうか。アーミー好きにはたまらないデザインだ。使い始めてから2年経つが飽きがこないデザイン性は秀逸。

 

♦ TIMEMORE nano

nano(ナノ)という名前の通りコンパクト。シンプルでミニマルなデザインが個人的にはヒットした。ハンドルが折りたためる携帯に便利な構造、そしてフィット感向上のための表面のダイヤモンドパターンが機能性のみならずデザイン性をも高めている。









本体の素材

 本体の素材

コマンダンテ    ステンレス、トライタンコポリエステル
♦ TIMEMORE nano    アルミニウム合金、ステンレス
 

 

♠ コマンダンテ

軸やベアリングなどコマンダンテの部品のほとんどはステンレスでできている。これは彼らが「堅牢性を高くするためにはステンレスが最も適した素材である。」と考えているからだ。ボディ部分も実はステンレス。一見木製に見えるが堅牢性の高さにフォーカスする彼らであれば木はチョイスしない。表面に本物の木製レイヤーがラミネートされている。

 

♦ TIMEMORE nano

ボディにはアルミの中でも汎用性の高い規格として知られるアルミニウム合金6063が使用されている。このアルミニウム合金6063は耐食性に優れているため錆びにくいというメリットがある。また加工性が高い性質を持つためnanoの表面に見られる無数のダイヤモンドパターンが可能になる。軸など他のパーツはステンレスで作られている。










刃の材質

 刃の材質

コマンダンテ  高窒素マルテンサイト系ステンレス鋼
♦ TIMEMORE nano  ステンレス鋼


それでは次に手挽きミルにおいて最重要パーツである刃の素材を見てみよう。






♠ コマンダンテ

刃のサイズは30mm。刃の素材には切削性の高い「高窒素マルテンサイト系ステンレス鋼」を使用している。マルテンサイト系ステンレス鋼は高硬度で耐摩耗性が特徴だが耐食性が弱点だった。その弱点を補うため窒素を添加することで耐食性を向上させている。ニトロブレード(=窒素の刃)と言われる所以だ。


前述した通り、高窒素マルテンサイト系ステンレス鋼は非常に優れた素材である。しかし熟練の職人が金属の塊を1からカットし特別な加工をするため大量生産はできない。そのため需要に対して供給が追いついていないのが現状である。


ただ他社の手挽きミルでは味わえない「サクサク」という心地よい体験ができるのはコマンダンテだけだろう。


コマンダンテの刃に関しては以下の記事でより詳しく解説しているので参考にしてほしい。

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♦ TIMEMORE nano

 

刃のサイズはコマンダンテと同じ30mm。素材はステンレス鋼。硬度は55-58HRCと表記されており、ハサミやナイフと同じくらいの硬度である。


コマンダンテの刃に採用されている高窒素マルテンサイト系ステンレス鋼の硬度が58HRCとされているので、コマンダンテの刃より少し低い硬度かもしくは同じ程度と言える。コマンダンテの挽き心地にはやや劣るが中々素晴らしい。


コマンダンテが「サクサク」という感触に対し、TIMEMORE nanoは「ザクザク」という感触。「切り刻む」と「すり潰す」の中間という感じだ。










ハンドルノブ

 ハンドルノブ

コマンダンテ  100%天然のオーク材
♦ TIMEMORE nano  天然木





♠ コマンダンテ (写真左)

素材は100%天然のオーク材。形はやや丸みを帯びた逆三角形。大きさも程よくフィット感は良い。このハンドルノブには安全性の高いワックスオイル処理が施されている(ボディ部分にも)。

 

♦ TIMEMORE nano (写真右)

素材は天然木で作られている。サイズはボディに合わせたサイズなのでやや小さめに作られている。ハンドルノブは磁石で付いているので着脱可能。今後カスタマイズできるパーツとして幅が広がっていきそうだ。










重さ

 重さ

コマンダンテ   615g
♦ TIMEMORE nano   365g

 

♠ コマンダンテ 

約615g。ステンレスのボディやガラスの粉受けが使用されているという理由からやや重さを感じる。ただのこの重量感が商品としての安心感を感じさせてくれる部分でもある。この重さであれば野外で少しの風が吹いても倒れる心配はない。

 

♦ TIMEMORE nano

約365g。コマンダンテの後に持つとさすがに軽く感じてしまうが、決して軽すぎるということはない。持った時のほどよい重量感が高級感を漂わせている。










フィット感

 フィット感

コマンダンテ  ○
♦ TIMEMORE nano  ○


♠コマンダンテ

ボディがやや太めのためガッチリと握りしめることができる。そのためハンドルを回す際のボディの安定性が高い。

 

♦ TIMEMORE nano

ボディがコンパクトでスリムなため男性の手にはフィットしないかと思っていたが実際に持ってみるとフィット感はとても良い。表面にはダイヤモンド型のパターンが無数に彫られており手の滑りを防止してくれる。










粒度設定段階

 粒度段階

♠ コマンダンテ  55段階
♦ TIMEMORE nano  36段階



♠ コマンダンテ  

粒度段階は90段階ほどありそうだが、ミルの特性として粗挽きにすればするほど上刃と下刃の間隔が開いていき粒度のばらつきが増えてくるため、実際に使用できるのは55段階くらいが現実的な範囲だろう。1台でエスプレッソからフレンチプレスまで幅広い抽出器具に対応することができる。

別売の公式アタッチメント「Red clix」を使用すればさらに細かく粒度を設定することができる。

 

 

♦ TIMEMORE nano 

粒度段階は36段階。コマンダンテと比べるとやや粒度段階は少ないが、エスプレッソからフレンチプレスまで幅広いグラインドサイズで挽くことができる。自宅で使用するのなら36段階で全く問題ない。電動ミルで有名なナイスカットミルが15段階であるすると36段階がむしろいかに十分な数字かが分かるだろう。










一度に挽ける量

 一度に挽ける量

コマンダンテ  3〜4杯分
♦ TIMEMORE nano  1〜1.5杯分
 
投入口比較

♠コマンダンテ 

約47gのコーヒー豆が投入できた。コーヒー3杯〜4杯分のコーヒー豆を一度に挽くことができる。一度にたくさん挽きたい時にはとても便利。



♦TIMEMORE nano

約17gのコーヒー豆が投入できた。コーヒー豆約1〜1.5杯分のコーヒー豆しか一度に挽くことはできないが2杯以上のコーヒーを淹れる場合は単純に分けて挽けばいいので特に問題はない。

 

今回は中浅煎りの豆を使用して計測した。焙煎度合いや品種によって豆一粒の重さや体積はやや変動する










グラインドスピード

 グラインドスピード

♠ コマンダンテ  ○
♦ TIMEMORE nano  ◎


♠コマンダンテ 

中細挽き15gをコーヒー豆を変えて3回計測。平均36秒という結果に。挽き終わるまでの回転数は56回。



♦TIMEMORE nano

タイムモアは平均30秒。回転数も40回。挽き心地こそ切れ味の鋭いコマンダンテ には負けるがグラインドスピードはこちらの方が上という結果になった。挽いていて確かに速い実感がある。










粒度比較

 細挽き

コマンダンテ  ◎ 
♦ TIMEMORE nano ◎


どちらも素晴らしい均一性。この二つの機種に関わらず他の機種においても細挽きはある程度均一に挽くことができる。

コマンダンテ ・・12クリック
TIMEMORE nano・・10クリック









 中細挽き

コマンダンテ  ◎
♦ TIMEMORE nano ◎


どちらも均一性を保ったままグラインドされている。コマンダンテの方がやや断面がスパッと切られている印象がある。ニトロブレードの切削性の高さを物語っている。これをみる限りだと微粉の発生はコマンダンテの方が少ないだろうと予測できる。

 

コマンダンテ ・・24クリック
TIMEMORE nano・・16クリック









 中挽き

コマンダンテ  ◎
♦ TIMEMORE nano ◎


どちらも素晴らしい均一性を見せている。

 

コマンダンテ ・・30クリック
TIMEMORE nano・・22クリック









 粗挽き

コマンダンテ  ○
♦ TIMEMORE nano


粗挽きになるとどちらもやや粒度のばらつきが見られるようになるが、それでも手挽きミルこの精度であれば文句のつけようがないだろう。そしてTIMEMOREがコマンダンテに引けを取らないグラインド能力があることにとても驚いた。

コマンダンテ ・・42クリック
TIMEMORE nano・・30クリック










携帯性

 携帯性

コマンダンテ  △
♦ TIMEMORE nano  ◎





♠ コマンダンテ 

携帯性は最高とは言えない。堅牢性が高いのがコマンダンテの特徴でアーミー感漂う外観はアウトドアやキャンプなどで使いたくなるデザインだ。ただやや重さがあるため軽量装備を重視する登山やトレッキングには不向きかもしれない。


またハンドルを収納できる構造ではないので外して持っていく場合は、豆投入口をラップなどで塞いでゴミやホコリが入らないような工夫をする必要がある。










 TIMEMORE nano

前述の通り、重さは軽く、サイズもコンパクトなので携帯性は高い。そしてnanoには携帯性の高さを象徴するもう一つの特徴がある。その秘密はハンドルの構造にある。


nanoのハンドルは折り畳める構造になっており、手軽に持ち歩くことができる画期的な機能的デザインになっている。また木製のハンドルノブの下先端にはゴムがついておりボディと接触しても傷がつかない工夫が施されているのもGood。家庭用としてだけでなく、アウトドアや旅先へ携帯するのにも最適。










付属品

 付属品

♠ コマンダンテ  遮光キャニスター
♦ TIMEMORE nano  携帯用ポーチ、コーヒーミルブラシ


♠コマンダンテ 

コマンダンテには持ち運びに便利な遮光キャニスター(黒)が付属している。約40gのコーヒー豆が入るのでちょっとしたお出かけなどに便利。ブラシは付属していないので別売ブラシ、もしくはブロワーの購入が必要。




♦TIMEMORE nano

タイムモアは携帯の時に便利なポーチと、コーヒーミルブラシが付属しているので、一式あれば何か他に買い足す必要はないだろう。










手入れのしやすさ

コマンダンテ 全パーツ
TIMEMORE nano 全パーツ
 手入れのしやすさ

コマンダンテ  ○
♦ TIMEMORE nano  ○

 

♠ コマンダンテ 

コマンダンテの手入れは非常に簡単だ。「いざ分解掃除をしよう」と思ってもパーツ数が多ければ少し気が引けるがコマンダンテはパーツ数が少ないので分解が楽。また掃除後も迷わず簡単に組み立てることができる。毎日使うものだから手入れが簡単なのはポイントが高い。

 

♦ TIMEMORE nano

こちらの手入れも特に難しいことはない。慣れないうちはパーツの向きなど少し迷ってしまうが分解掃除後の組み立ても簡単である。付属で掃除用のブラシが付いているのもGood。











それぞれの気に入っているところ

コマンダンテ 

・堅牢性
・ニトロブレードによる圧倒的な切れ味
・サクサクという軽やかなグラインド感
・手入れの簡単さ

♦TIMEMORE nano

・コスパの良さ
・スタイリッシュさ
・アウトドアに最適な圧倒的な携帯性











最後に

TIMEMORE nanoがハンドグラインダーの最高峰と言われる高級機種「コマンダンテ」に負けず劣らずの機能性があることに今回の検証を通してまず驚いた。


美味しいコーヒーを作る上で粒度の均一性はとても大切な要素である。僕はミルを選ぶ際にはそこを一番重要視する。その均一性においてコマンダンテに引けを取らないスペックをTIMEMORE nanoは見せてくれた。

コマンダンテのヘビーユーザーとしてコマンダンテを自宅で愛用し、ずっとコマンダンテ一択だったが、TIMEMORE nanoの機能性の高さとコマンダンテをも凌駕する圧倒的な携帯性を知ってしまった以上、アウトドアなど外に持ち出す時は間違いなくTIMEMORE nanoを手に取るだろう。

コマンダンテのサブとしてこれからもずっと手元に置いておきたい一台となった。