[コーヒーミル比較検証レビュー]コマンダンテとポーレックスを徹底的に比較してみた

先日の出来事。


店舗で飲んで「美味しい」と思ったコーヒーと同じコーヒー豆を購入し、家で淹れてみたが味が全く違うという経験をした。お店の人のアドバイス通り、同じ抽出方法、同じレシピで淹れても味が全く違う。そこで抽出テクニックに問題があったのかもしれないとそう思い、淹れ方を改善し再度挑戦。それでも味が違う。そこでその時、重要なことに気が付いた。それは、



使用するコーヒーミルのスペックである。



店舗は業務用グラインダー、片やこちらは安価な手挽きコーヒーミル 。この違いが味にも大きな違いをもたらしていたとは知る由もなかった。ここで結論を言ってしまうと、コーヒー豆を粉砕できればどんなミルでもグラインダーでも同じというわけではないのだ


そこで今回は業務用グラインダーに匹敵するスペックを持つ「手挽きコーヒーミルの最高峰」と謳われているComandante C40(コマンダンテ C40)と長年コーヒーラバーに愛されているポーレックスミニを使い、様々な面からスペックの違いを徹底的に比較し、ミルの性能が如何にコーヒーの味に影響を与えるのかをシェアしたい。とても興味深い結果となったので最後までお付き合い頂ければと思う。


<関連記事>
『[使用レビュー]コマンダンテ(Comandante)コーヒーグラインダーを1年間使い倒してみた感想」』

スペック比較1
一度に挽くことができるコーヒー豆の量

ポーレックスは一度に20g挽くことができる。
ポーレックス コーヒーミル
コマンダンテ は30gを一気に挽くことができる。
コマンダンテ

ポーレックスは一度に挽けるコーヒー豆の量が約20g前後に対しコマンダンテは約30g前後。1杯分のコーヒーを作るのに10g使用するとすればポーレックスでは2杯分、コマンダンテでは3杯分のコーヒー豆を一気に挽くことができるという計算だ。自分用のコーヒーを淹れるだけならポーレックスでもコマンダンテでもどちらでも問題はなさそうだ。

ポーレックス 約20g 
コマンダンテ  約30g 

コマンダンテの方がすこし多く入るんだね。


スペック比較2
グラインドスピードと疲労感

手挽きのコーヒーミルの魅力は何と言っても手に伝わるゴリゴリと音を立てる、あの「挽いている感覚」。この感覚は電動ミルでは決して味わえない。しかしこの長所も一気に短所に変わってしまう脆さがある。

いくら挽く感触が好きだからと言っても、毎日これが続くとなるとコーヒー豆を挽くことがもしかしたら億劫になってしまうかもしれない。


「もっと速く挽きたい」
「やっぱり手が疲れない電動ミルが欲しい」


という欲望の結果、長年愛用していたコーヒーミルでさえも棚の奥底で埃を被っていつしか忘れられてしまう日が来る。手挽きコーヒーミルの最高峰「コマンダンテ 」はどうだろう。次は手挽きコーヒーミルにとって重要なグラインドスピードと疲労感をポーレックスで比較する。



グラインドスピード

ポーレックスで15gのコーヒーを挽くと約1分かかる。
ポーレックス コーヒーミル
コマンダンテ で15gのコーヒーを挽くと約30秒しかかからず力もそれほどいらない。
コマンダンテ

コマンダンテとポーレックスでは明らかな差が出てしまった。

15gのコーヒー豆を1秒1回転のスピードで同じように回したのだが、全て挽ききるのに約1分かかるポーレックスに対し、コマンダンテでは約30秒以内で挽くことできるという結果が出た。これが手挽きであると考えると非常に高速であることが分かる。

ポーレックス 約1分
コマンダンテ  約30秒

 コマンダンテとっても早いね!

疲労感

ポーレックスはコニカル刃でゴリゴリとコーヒー豆をすり潰しているという感覚が手に伝わるのに対し、コマンダンテではどちらかというとコーヒー豆をカットしているという感覚がある。全く疲れず逆にこのサクサク感が心地よいとさえ感じる。

その理由は、コマンダンテには回転する”軸”を支える「ベアリング」が内蔵されており、これにより滑らかな回転が実現され、エネルギー消費量を格段に少なくすることができるからである。



スペック比較3
「粒度の均一性」

粒度が均一なのは美味しいコーヒーを作る上でとても大切な事。なぜ粒度が均一に挽けることが重要なのかは後述するとして、まずはポーレックスとコマンダンテの粒度の均一性を比較する。



中挽きでの比較

ポーレックスで挽いた中挽きのコーヒー豆。少し大き目のかけらのような粒度のものがある。
ポーレックス 中挽き
コマンダンテで挽いた中挽きのコーヒーは粒度の均一性に優れていることが分かる。
コマンダンテ 中挽き

上記の写真はポーレックスとコマンダンテでそれぞれ挽いた中挽きのコーヒー豆である。ポーレックス(写真上)は丸で囲んだ部分に粗挽きレベルの粉が見られるが、それでも均一性が高いことが分かる。

だがしかしコマンダンテはそれを遥かに上回った。

非常に粒度の均一性が高く、またそれに加え挽かれた粉のカット面にも統一性が見られる(写真参照)。実に芸術的であり、別格の精度を誇る。次は中粗挽きでの均一性の違いを見てみる。



中粗挽きでの比較

ポーレックス(POLEX)で挽いた中粗挽きのコーヒー豆。大きな岩のようなかけらが多く見つかる。
ポーレックス 中粗挽き
コマンダンテで挽いた中粗挽きのコーヒー豆。非常に均一性が高い。
コマンダンテ 中粗挽き

ポーレックス(写真上)では、中粗挽きで挽くと極粗挽きで挽かれたものがかなり多く混じっていることが分かる。中挽きまでは安定していた粒度の均一性も中粗挽きレベルになると途端に弱点を見せ始める。これはどの手挽きミルでも見られる現象なので致し方ない。


対してコマンダンテ(写真下)は中粗挽きでもかなりの均一性の高さを見せる。これよりさらに荒くすると若干だが粒度に乱れが見え始めるがそれでも問題なく高い精度でグラインドしてくれる。


ポーレックスは極細挽きから〜中挽きの範囲、コマンダンテは極細挽き〜粗挽きが安定した粒度で挽ける範囲となる。幅広い粒度を高い精度で網羅している点でコマンダンテ はポーレックスや他の手挽きミルを遥かに凌駕していることが分かった


粒度が均一であればあるほど良い理由

粒度が均一であればあるほど良い理由。



それは、挽いたコーヒーの粒度が均一であればあるほど美味しいコーヒーを作ることが簡単になり、粒度が揃わなくなればなるほど美味しいコーヒーを作るのが難しくなるから。



粒度が不揃いであるというのは粒度分布が広いという事(細挽きや粗挽きなど様々な粒度が混在している状態。)粒子の小さい細挽きのコーヒーは粗挽きのコーヒーより先に成分が抽出され、粒子の大きい粗挽きのコーヒーは細挽きのコーヒーより成分の抽出が遅い。つまり、細挽きのコーヒーは過抽出傾向になり雑味や渋みが、粗挽きのコーヒーは逆に未抽出傾向になりしっかりとコーヒーの良い成分が抽出しきれないという結果になる。


つまり逆に粒度が均一であればあるほど(粒度分布が狭ければ狭いほど)、コーヒーからの成分の出方が同じようになり、コーヒー抽出に再現性が生まれ、美味しいコーヒーを淹れることがより容易になる、という訳である。

<関連記事>
【未抽出・過抽出とは?】これを知ればもっとコーヒーはおいしく淹れられる!

スペック比較4
「微粉量」

コーヒーリテラシー

微粉がコーヒーのテイストに与える悪影響は計り知れない。

KRUVE Sifter(クルーヴ シフター)というパウダーコントロールができるコーヒー器具が登場するなど、コーヒー抽出において多くのバリスタを悩ませているのが微粉の存在である。

どうやらこの微粉の発生を抑えることができるのもコマンダンテの特徴と言われている。それでは実際にポーレックスと比較した微粉量を見てみる。


コマンダンテとポーレックスで挽いた中挽きのコーヒーの微粉量の検証。30回茶こしで振るとポーレックスの方が3倍くらい微粉の量が多い。
ポーレックス(左)・コマンダンテ(右)

挽いた15gのコーヒー粉の中から5g取り、茶こしを使って30回振って落ちた微粉が上の写真である。左がポーレックス、右がコマンダンテ。グラム換算すると0.1g未満で計測は不能であったが目視で確認したところ、挽いたコーヒー豆から出た微粉量の差は実に3倍この差は非常に大きく、味に与える影響も大きいのではないかと推測できる。

正確には100ミクロン以下を微粉と呼ぶが、ここでは茶漉しをすり抜けた微粒子のもののことを微粉とする

ここでもう少し微粉について詳しく説明するね

微粉がなぜ忌み嫌われているのか?
それは出来上がりのコーヒーの味に悪影響を与えるからである。

微粉は非常に細かい粒子のため、コーヒーの成分がお湯に移行する速度が非常に早い。そのため、抽出が完了した頃には渋みや雑味など味や食感に悪影響を与える成分が微粉から抽出されてしまう。



抽出検証

今回は再現性と安定性に優れ、検証するにはもってこいの台湾製コーヒードリッパー・クレバーで抽出した。
検証にはクレバーコーヒードリッパーを使用

それでは最後に、ポーレックスで挽いたコーヒー豆とコマンダンテで挽いたコーヒー豆を使用しての抽出検証を行いたい。使用器具はブレが少なく安定した抽出ができるクレバーコーヒードリッパーを使用する。レシピは以下の表の通り。

<抽出レシピ>

抽出器具 クレバーコーヒードリッパー
コーヒー インドネシア Tim Tim マンデリン  トップスペシャルティ
焙煎度 深煎り
コーヒー量 15g
粒度 中挽き
湯量 225g
湯温 88度
抽出時間 4分経過後ブレイクして透過開始。トータル約5分

 

<関連記事>
面倒臭がり屋が一度手にしたら手放せなくなるコーヒー器具『クレバーコーヒードリッパー』



抽出時間の違い

ポーレックスで挽いたコーヒーには細かい微粉が液体に溶け込む

粉にお湯を注いでから4分経った後にスプーンを使用してブレイク(攪拌)をし、すぐにカップにクレバードリッパーを乗せ抽出を開始。結果はポーレックスは抽出時間5分30秒、コマンダンテは抽出時間4分30秒

ポーレックスは透過するのに実に1分半も掛かっており、コマンダンテより1分も長い抽出時間となった。

この理由は微粉量の違いであると推測できる。グラインド時に微粉の発生が少ないコマンダンテはスムーズにお湯が抜けたが、微粉が多いポーレックスはお湯抜けが悪い。これは微粉がペーパーフィルターに目詰まりを起こしお湯の通り道を塞いでいるからであると言える。 

この抽出時間の違いが味にどのような違いを生み出すのかについては後述する。



液色の違い

ポーレックスで挽いたコーヒーの粉で抽出したコーヒーの液色はコマンダンテのそれとは少し濃くなるようだ
ポーレックス コーヒーミル
コマンダンテ で挽いたコーヒーの粉で淹れたコーヒーの液体はポーレックス に比べ少し薄くなる
コマンダンテ

ポーレックスの方がコマンダンテに比べ若干濃い液色になった。これは微粉がペーパーフィルターに目詰まりし、その影響によりお湯抜けに時間が掛かり、ドリッパー内で湯だまりができ、お湯とコーヒーの接触時間が長くなってしまったからだと推測できる。ポーレックスの方が良くも悪くもコマンダンテより成分がしっかり出ていると言える。



テイスト検証

red poison coffee roaster レッドポイズンコーヒーロースター パプワニューギニア コーヒー豆

それでは次に、味にどのような違いが出たのか実際に味の検証をしてみよう。



味の複雑さ

コマンダンテに比べ粒度分布が広いポーレックスで挽いたコーヒーの方が、複雑な味わいを感じる。複雑さと言うのはコーヒーの世界では「コンプレックス」と表現し良い意味として使われる。

しかし良い意味でも悪い意味でも複雑であると言わざるを得ない。

微粉の多さから来る雑味や苦味や渋みなどは、成分が出すぎたコーヒーの味に見られる傾向だ。それによって甘さやフレーバーなどの他の良い部分が隠れてしまう。対してコマンダンテの方は粒度分布が狭く粒度の均一性が高いため、成分の出方も均一になり、とてもまとまった味のコーヒーに仕上がっている。

 

<関連記事>
【未抽出・過抽出とは?】これを知ればもっとコーヒーはおいしく淹れられる!



クリーンさ

これはコマンダンテが圧勝である。

均一な粒度、また微粉が少ない事で、雑味や渋みが少なく、深煎りにも関わらず非常にクリーンで綺麗な印象のコーヒーに仕上がった。深煎りが嫌いな人にもぜひ飲んで頂きたい、と思ったほどだ。



フレーバー

ポーレックスの方はフレーバーが感じずらかった。対してコマンダンテの方はスペシャルティコーヒーが持つフレーバーと良質な酸を感じることができた。これはグラインド時における摩擦熱の発生を軽減できているかいないかが分かれ道になる。

コーヒーは熱に弱く、アロマやフレーバーなどの揮発成分はその熱によって空気中に揮発してしまう。摩擦熱の発生を軽減する作りになっているコマンダンテの方が断然感じるフレーバーの総量が多かった。



マウスフィール(触感)

ポーレックスで挽いたコーヒー豆を使用して淹れたコーヒーはカップの底に微粉が見える。
カップ底に残る微粉(ポーレックス)

マウスフィールにも大きな違いを感じる。コマンダンテで挽いて抽出したコーヒーには心地よく滑らかなマウスフィールを感じ、舌に引っ掛かりがない一方ポーレックスの方は舌に少しザラつきを感じる。また深煎りのコーヒーを飲んだ際に感じるイガイガした感覚が喉に残る。過抽出によるものだろう。ペーパーフィルターでは吸着されなかった微粉がカップの底に残っているのが見える。(写真参照)



温度帯による味の変化

ポーレックスの方は冷めてくると過抽出による渋さや雑味が際立ってくる。一方コマンダンテは冷めてもカップクオリティが下がることはなく、最後まで美味しく飲むことができた。



それぞれのミルの長所と短所

ポーレックスには微粉の多さや広い粒度分布という一見弱点とも取れる部分が逆に長所となり、苦くて渋くはあるけれども複雑な味わいのコーヒーに仕上がる。コーヒーに深みのようなものを求める人には強い味方になってくれるであろう。



しかしそのポーレックスが持つ「複雑な味わいのコーヒー」という長所もコマンダンテに掛かればいとも簡単に意図的に作り出すことができる。コマンダンテが持つ粒度の均一性を駆使し、粗く挽いたコーヒーに細かいコーヒーを少量加え、複雑な味わいのコーヒーを狙った通りに作り出すことも出来るのだ。


ポーレックスの一番の長所である「複雑な味のコーヒーを作り出す」こともコマンダンテにはいとも簡単にできてしまう。そんなコマンダンテはやはり優秀。ただ一つ短所がある。それは3万円という価格。これが唯一のコマンダンテのデメリット。だがこれだけは強く言える。


手挽きミルの中では現時点で最高峰である。




まとめ

コマンダンテとポーレックス。どちらがより優れているかの検証。

同じコーヒーでもグラインダーによってここまで味の違いが出るのには本当に驚いた。


コーヒーをより美味しく淹れるための抽出方法や抽出テクニックを追求することも大切かもしれない。しかしグラインダーによってここまで味の違いが顕著にでることを考えると、抽出スキル以上に使用しているグラインダーを再考する必要があると思わずにはいられない。


また、バリスタの世界大会でも多くのトップバリスタが使用し、本格的なコーヒーショップでは必ず見かける業務用の電動グラインダー「EK43」にも引けを取らない精度を誇ると個人的には感じるし、そう言っているプロも多くいる。



お店と同じクオリティのコーヒーを飲みたい。これを実現してくれるのは絶対にコマンダンテしかないだろう。それくらいコマンダンテは本当に素晴らしい優秀なコーヒーミルなのだ。是非あなたも機会があれば実際に手にとってその性能を確かめて頂きたい。

間違いなくあなたのコーヒーライフが今より何倍も何十倍もランクアップするはずだ。


関連記事

手挽きコーヒーミルは国内・国外にて様々なモデルが開発・販売されている。 【ポーレックス(Porlex)】【Zpro(ジープロ)】【Timemore(タイムモア)】【Kinu(キヌ) M47】 など高品質なモデルが各社で続々と発表されている群[…]

関連記事

美味しいコーヒーは毎日の器具のお手入れで決まる。 そう言っても言い過ぎではないくらい、毎日の器具の使い方は重要である。少ない微粉発生量、高い粒度の均一性が魅力的な手挽きコーヒーミル、「コマンダンテ C40(Comandante C40)」。[…]

 


 

>「コーヒーで幸せに」

「コーヒーで幸せに」

「コーヒーで幸せに」をコンセプトにコーヒーの楽しさや多様性などをより多くの日本人の方々に発信していきたいという想いでこちらのメディアを開設しました。

突然ですが皆様はこの事をご存知でしょうか?

“美味しいコーヒーが日常的に飲まれている都市は、幸福度が高い”

と言われています。

私自身の経験からも、コーヒーのあるライフスタイルは毎日の生活に少しの潤いを与えてくれるものだと感じています。

「コーヒーを通して、今よりほんの少しでも皆様に幸せになってもらえたら。」

コーヒーを淹れる方、コーヒーを飲む方にとって少しでもお役に立てるような情報を発信できるよう誠意を持って運営させて頂きたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。