通液性の高さが特徴のアバカコーヒーフィルターが最近のお気に入り。湯の抜けが良くクリアーな味わいになりやすいアバカフィルターを日々使っていてある好奇心が芽生えた。「これだけ通液性が高いアバカコーヒーフィルターを二枚重ねにしたらどのような味のコーヒーが出来上がるのだろうか?」。予想としては、
実際のところはどうだろうか。それではアバカフィルターを2枚重ねにしてドリップコーヒーを淹れて検証してみよう。
検証

淹れ方は普段淹れているレシピで
いつも淹れている以下のレシピで検証。
・湯量 225ml (93℃)
・抽出時間 約2分30秒
フィルターを二枚重ねて抽出してみよう

抽出していて驚いたのは予想以上にスムーズに液体がフィルターを通過していく事。通液性がいくら高いと言えども2枚の紙を重ねているので少しは遅くなるかと思ったが1枚の時とさほど変わらないスピードで投下していく。これには驚いた。

2枚フィルターを重ねても1枚の時と変わらないスピードでお湯が抜けていくのは、アバカフィルターの特徴である通液性の高さから来るものだと思ったが、どうやらそうではないようだ。
他メーカーのフィルター2枚でもそこまで詰まらずに液体がフィルターを通過していくので、フィルターを2枚重ねたくらいでは透過スピードへの影響は特にないと言える。

抽出時間は2分28秒。ペーパーフィルター 1枚で淹れた時とほぼ同じタイム。抽出されたコーヒーの液体の色はいつもに比べて透明度が高い。いつもは果実感のあるフルーティなエチオピア ナチュラルのコーヒー。さて、味の方はどうだろうか。
ダブルフィルターで抽出すれば雑味を全て除去し、クリアーで飲みやすいコーヒーになることをイメージしていたが、実際に飲んでみると良く言えばあっさり、悪く言えば薄い、そしてアフターテイスト(余韻)の伸びが無い。
そして何より複雑さに欠ける。複雑な味わいは美味しいコーヒーの一つの大事な要素。2枚重ねのフィルターが雑味のみならず良い成分もろとも吸着しすぎてしまったようだ。
「2枚重ねのフィルターは成分を取りすぎてオススメできない」、というのも何だか悔しい。「フィルター2枚重ね」の成分除去のパワーを享受しながらもなんとか美味しくコーヒーを淹れたい。そこで解決策を考えた。
細挽きで再挑戦

細挽きにして収率を上げ、しっかりとコーヒーの良い成分を引き出しながらも、2枚のフィルターの力によって渋みや雑味などの悪い成分はしっかりと除去し、フルーティでクリーンなコーヒーになると考えた。さてどうだろう。

液色は先ほどの中細挽きと比べると濃くなった。味わいの部分で見ると少し濃度は上がったが、余韻が短く、コンプレックスさ(味の複雑さ)に欠けるのは先ほどと同様。2枚のフィルターがコーヒーの良さもしっかりと吸着してしまっている。全く美味しくはならなかった。
最後に

美味しいコーヒーを淹れるという目的であるならば使うペーパーフィルターは1枚がベスト。今回は、好奇心で2枚のペーパーフィルターを使って淹れてみるという検証をしたが美味しくはならないし、経済的にも良くない。
もしあっさりしたコーヒーを飲みたいならば、いつもよりコーヒー豆を荒く挽いてみたり、お湯の量をいつもより多めにしてみたり、出来上がりのコーヒーに少しだけ加水をしたりなどして対応すれば良いだろう。
もちろん、アバカフィルター1枚で淹れるコーヒーは抜群に美味しい。しっかりと良いコーヒーの成分は通過させながらも、雑味をしっかり吸着してくれる。V60純正ペーパーフィルターを超えるという評価も頷ける。2枚重ねではなくぜひ従来の使い方で試してもらえればと思う。
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