僕がバリスタになりたての頃、初めてエスプレッソ調整をやらなければいけない状況になった時、どこから何を始めれば良いのか分からずエスプレッソマシンの前で立ち尽くしてしまった経験がある。
これを読んでいるあなたも過去そんな経験をしたことがあり、もしかしたら今もまだ何が正解か分からず悩んでいるかもしれない。
そんな方のためにエスプレッソ調整の基本をこの記事では紹介していきたいと思う。この記事を読めば今後悩まずにエスプレッソ調整に取り掛かれるだろう。
■ バリスタになりたての人
■ 美味しいエスプレッソを抽出したい人
■ これからバリスタになりたい人
今回の内容は「すでに知っているよ」という方はこの記事を飛ばして、以下の記事を読むことをおすすめしたい。
エスプレッソの味でその店の評価を決める人は実は意外と多い。それは「一杯のエスプレッソにバリスタの知識と技術が集約されている」と知っているからだ。いわば寿司屋の卵焼きのような位置づけ。コーヒー豆の素材自体のクオリティが高かったとしても、バリス[…]
フィルターバスケットのサイズを知る

まず最初にすることはフィルターバスケットサイズの確認。
フィルターバスケットには約18gのコーヒー粉が入るサイズのものや、20g入るものまで様々存在する。そのためまず現在あなたが使用しているフィルターバスケットのサイズを知ることが第一ステップになる。
ドース(粉量)を決める

フィルターバスケットのサイズが確認できれば、そのフィルターバスケットに対してどのくらいの量のコーヒー豆を使用すれば良いのかが半自動的に決まる。
コーヒー豆の焙煎度によってコーヒー豆一粒あたりの質量が変わってくるので、フィルターバスケットのサイズに対して±2gくらいで考えると良い。
18gのフィルターバスケットであれば16〜20g
20gのフィルターバスケットであれば18〜22g
22gのフィルターバスケットであれば22〜24g
注意点としては、バスケットサイズに対してあまりにも少ない粉量(ドース量)でドーシングした場合、コーヒーベッド(コーヒー粉の層)が浅くなりやすい。その場合チャネリングを引き起こしやすいので注意が必要。
チャネリングはエスプレッソ抽出において最も避けたい現象
バリスタであればチャネリングという言葉を一度は耳にした事があるかもしれない。特にエスプレッソ抽出においてチャネリングという言葉が使用される。もしこのチャネリングという現象がエスプレッソ抽出時に発生した場合、出来上がりのエスプレッソの[…]
エスプレッソの抽出量を決める

使用する粉量が決まればエスプレッソの抽出量も自ずと決まってくる。
18gの粉量を使用した場合、適正なエスプレッソの抽出量は36g付近
20gの粉量を使用した場合、適正なエスプレッソの抽出量は40g付近
22gの粉量を使用した場合、適正なエスプレッソの抽出量は44g付近
何かが見えてきたはず。つまり、エスプレッソの抽出量を決める際、以下のように考えるとシンプルで分かりやすい。
コーヒー豆:抽出量=1 : 2
どのような料理にもバランスの良い比率というのは必ずある。それと同じでエスプレッソの抽出、特にイタリア系より煎りが浅めのスペシャルティコーヒーのエスプレッソ抽出においてのバランスが良い比率は約1:2。
「約」としているのはコーヒーの状態によって比率が多少変動することがあるからだ。しかし基本的な考えとして比率(ブリューレシオ)はこの1:2というのを頭に入れておくと迷いが減る。
極端ではあるが、イメージしやすい分かりやすい例として10gの粉量で50gの適正なエスプレッソを抽出する事はできないし(シャバシャバ、過抽出)、20gの粉量で10gの適正なエスプレッソを抽出することもできない(濃度高すぎ、未抽出)。
まずは1:2で抽出し、テイスティングをしてからその後微調整していくと良いだろう。
エスプレッソはクレマがあるのでmlではなく、今はスケールを使ってgで量るのが主流だから覚えておいてね
コーヒーの味の評価する際にバリスタが非常によく使う2つの言葉がある。これからバリスタになりたい人やコーヒーが趣味の人はぜひ覚えておいてほしい。 未抽出(英名:Under-Extraction/アンダーエクストラクション) 過抽出(英名:[…]
欲しいエスプレッソの量から逆算する

使用しているラテカップの大きさに合わせて抽出したい量のエスプレッソを決めたいという人もいるだろう。
例えばたくさんのミルクが入るカップを使用しているのであれば、コーヒーとミルクの味わいのバランスを取るために多めのエスプレッソが必要になるかもしれない。コルタドやジブラルタルなどのミルク少なめのドリンクであればエスプレッソは少量を抽出すればいいかもしれない。その場合は欲しい抽出量から逆算して考える。
36gのエスプレッソを抽出したい。
40gのエスプレッソを抽出したい。
45gのエスプレッソを抽出したい。
このようにまず抽出量を決めてから、使用するフィルターバスケットのサイズを適正なものに変更しよう。これでシンプルに解決できる。
最後に

今回はエスプレッソ調整の初歩の初歩を紹介した。粉量とエスプレッソを1:2の割合で抽出するという基本を守れば大きな間違いはない。
ただその比率で抽出してもシャバシャバで水っぽいエスプレッソになってしまう時もある。それはメッシュサイズ(挽き目)が適正でない場合である。そのメッシュサイズの調整の仕方は以下の記事で詳しく紹介しているのでぜひ参考にして頂きたい。
エスプレッソの味でその店の評価を決める人は実は意外と多い。それは「一杯のエスプレッソにバリスタの知識と技術が集約されている」と知っているからだ。いわば寿司屋の卵焼きのような位置づけ。コーヒー豆の素材自体のクオリティが高かったとしても、バリス[…]