コーヒーを立体的に理解する!収率とTDS(濃度)とは?

コーヒーの収率TDS (濃度)。

収率とTDS(濃度)はプロのバリスタであれば絶対に知っておかなければならない知識。コーヒーという液体に対して、収率TDSなどの数値を算出し客観的にコーヒーを評価・判断する事が世界のコーヒーシーンではスタンダードになってきている。

ただしまだ日本では味覚だけに頼りすぎている部分が大きい。飲み物である以上、人間の舌による判断はもちろん一番大切だが、そこに数値が加わるとよりコーヒーを立体的に理解することができる。

今回はコーヒーにおける収率TDS(濃度)が一体どんなもので、なぜそれらを理解することが現場で働くバリスタにとって大切なのかをどこよりもシンプルに解説していきたい。

 

この記事がオススメな人

■ 適性なコーヒーを抽出できているか不安な人
■ 店舗のクオリティを維持したい人
■ コーヒー抽出を勘に頼りすぎたくない人



 

数値判断で得られる3つのメリット

適正抽出かどうか分かる

コーヒーには誰もが美味しいと感じる適正な抽出がある。成分を出し切れていない未抽出のコーヒーや、成分を出しすぎてしまった過抽出のコーヒーは美味しくない。

その未抽出と過抽出の間で抽出されたコーヒーを「適正抽出」と言うがこれをSCA(スペシャルティコーヒーアソシエーション)が「この数値の範囲であれば適正抽出ですよ」と定義付けてくれている。

舌だけで判断せず客観的に適正抽出が分かればその範囲内でコーヒーの個性に合わせて微調整しやすい。

 

 

■ SCAが定める適正抽出

TDS  1.15〜1.35%
収率  18〜22%



未抽出・過抽出に関しては下の記事で解説しているのでより詳しく知りたい人は参考にしてほしい。

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味覚のブレを教えてくれる

いくら体調管理に気をつけていても人間だから体調が万全ではない日があることは仕方のないこと。そんな時は味覚が少しいつもとはブレており普段食べたり飲んだりしているものが若干違う味に感じてしまう。僕も花粉の時期はいつもに比べややコーヒーの味が取りにくい。

そういう時こそ僕は積極的に数値を利用するようにしている。自分の味覚が正常時と比べて少しずれていそうなときでも数値で客観的にコーヒーを判断することができ、一定のクオリティを保つことができる。








味を統一してくれる

店舗においてはそれぞれのバリスタが抽出するコーヒーの味に個性が出てしまってはいけない。誰が抽出しても同じ味のコーヒーを抽出し提供する必要がある。


スタッフ間のカリブレーションをする時は舌で味を覚えることに加え、数値を利用することでしっかりと店舗の味を統一することができる。つまり再現性が高まるのだ。


もし「自分の抽出するコーヒーが店舗基準の味からずれてきているかな?」と不安に思った時は数値で一度確認する事をおすすめしたい。客観的に判断できすぐに軌道修正することができる。


また新人バリスタに教える際も「うちのコーヒーはこういう味で提供していて数値にするとこのくらいだよ」と示してあげる事で感覚のみで教える時と比べて理解が早い。


上記のようにコーヒーを数値で見ることはとても大切で利便性が高いことが分かる。その数値というのが収率TDS(濃度)の2つ。それでは収率とTDS(濃度)とは一体何なのかシンプルに説明したい。









収率とは?

収率とは簡単に言うとコーヒー豆からどのくらいの成分を取り出す事ができたかを示す数値(%)。

例えば一杯のドリップコーヒーを淹れるのに10gのコーヒー豆を使用し収率が20%だったとする。これは10gのコーヒー豆を100%とすれば、収率が20%であれば10×0.2=2で10gのコーヒー豆から2gの成分を引き出したという事になる。とてもシンプル。

この収率を知ることができれば抽出したコーヒーが未抽出でもなく過抽出でもない適正な範囲内で抽出できているのか、という指標が分かるのでとても便利。


ちなみにSCA(スペシャルティコーヒー協会)が定める適正抽出の収率は18〜22%としている。簡単に言うと「この範囲の収率でコーヒーを抽出すれば適正ですよ」という目安である。18%より低ければ味が弱く酸味が強調されたいわゆる未抽出のコーヒー。22%より高ければ味が強く渋みや苦味が強調された過抽出のコーヒーという具合である。


この収率はコーヒーのTDS(濃度)が分かれば計算式で簡単に算出することができる。

 

※コーヒーの成分は水に溶ける可溶性固形分と水に溶けない不溶性固形分で構成されているためどんなに頑張っても30%以上にはならない








 

 

TDS(濃度)とは?

TDSはTotal Dissolved Solidの略。日本語に訳すと「総溶解固形分」になる。少し難しいように聞こえるが、簡単に言うとTDSとは抽出されたコーヒーの液体にどれだけコーヒーの成分が含まれているかを示す値(%)。いわゆる濃度のこと。TDS=濃度と思ってもらって問題ない。


ドリップコーヒー1杯に含まれるコーヒーの成分は意外と少なく、SCA(スペシャルティコーヒーアソシエーション)が定める適正な抽出がされたコーヒーのTDSは1.15〜1.35%。この数字よりTDSが低ければ薄く味けないコーヒーに、高ければ味が強く飲みにくいコーヒーになる。


濃度が約1%と聞いて「あれ?」と思った人もいるかもしれないがコーヒーはほとんどが水でできている。実は約99%は水なのである。そのためコーヒーにおける水の重要性がここ数年前から話題に挙がってくるのも頷ける。


ちなみにエスプレッソはTDS10%付近なのでドリップコーヒーより10倍ほど濃度が高い。

 








コーヒーのTDS(濃度)を知るには?

コーヒーのTDS(濃度)を知るためには専用のツールが必要になってくる。おすすめできる濃度計は以下の2つ。





VST社とATAGO社

VST社のTDS計がもしくはAtagoのポケットコーヒー濃度計がよい。ただVST社のものは精度は一級品だが価格も高く手が出しにくい。


対して日本のAtago社が販売している濃度計は価格はVSTの半分ほど。機能は申し分ない。VST社のものに比べ濃度算出時間が15〜20秒ほど掛かるが使っていて不便に感じたことはなく、VST社のものに比べコンパクトなので持ち運びにも最適。


ATAGOポケットコーヒー濃度計の購入レビュー記事は以下から。

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収率の計算方法

収率の計算方法は至ってシンプル。収率はTDSが分かれば計算することできる。計算式は以下となる。



TDS×収量÷粉量=収率 

 






 

イラストでわかりやすく解説

文字だと分かりづらいと思うのでイラストにしてみた(上図参照)。より理解しやすいはず。それでは実際に数字を使って計算してみよう。








数字を当てはめてみよう

TDS  1.0%、収量  200g、 粉量  10gであれば収率を求める計算式は以下になる。

 

 

1.0×200÷10=20  (上図参照)

 

 

収率は20%。つまり使用した10gのコーヒー豆から20%の成分を引き出すことできた。もし「もう少し成分を引き出してあげた方がこのコーヒーは美味しくなるな」という場合は以下のことをすればより収率を上げる事ができる。収率を下げる時は逆のことをすればよい。

 



収率の上げ方 

■ 湯温を上げる
■ 粉量を減らす
■ メッシュ(粒度)を細かくする
■ 抽出時間を長くする

 






 

 

 

数字だけにとらわれすぎない事が重要

コーヒーはやはり人間の飲み物。いくら数値が適正範囲内に入ったとしても人間が美味しいと思わなければその数字には意味がない。数値はあくまでコーヒーを客観的に判断するツールとして利用し最終的には人間の舌で美味しいかどうか判断する事が最も重要になってくる。


ただ収率とTDS(濃度)が理解できるとコーヒーの味わいをコントロールしやすくなるしよりコーヒーを淹れる事が楽しくなるので、ぜひこの機会に頭に入れておこう。


ATAGOポケットコーヒー濃度計の購入レビュー記事は以下から。

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