【エスプレッソにおけるチャネリングとは?】意外と盲点。これを知ればあなたのエスプレッソは劇的に良くなる

バリスタであればチャネリングという言葉を一度は耳にした事があるかもしれない。特にエスプレッソ抽出においてチャネリングという言葉が使用される。

もしこのチャネリングという現象がエスプレッソ抽出時に発生した場合、出来上がりのエスプレッソの味わいに大きな影響を及ぼす。

そしてこのチャネリングをしたエスプレッソはお客様に提供できるクオリティレベルには達していない可能性が極めて高いため、バリスタはそのエスプレッソを破棄しなければいけないほどである。

それほどまでにバリスタはチャネリングと日々闘っているのである。そんなバリスタの大敵とも言えるチャネリングとは一体どのような現象なのか丁寧に詳しく紐解いていきたい。


この記事がオススメな人

■ バリスタとしてレベルアップしたい人
■ コーヒーが何故か美味しく淹れられない人
■ コーヒーをもっと深く知りたい人



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チャネリングとは?

そもそもチャネリングとは一体どのような現象なのか?


チャネリングとは1文で簡単に説明すると、コーヒー粉の層の一定箇所から沢山のお湯が通り抜けることを言う。


なぜそのような現象が起こってしまうのか。それは、コーヒーベッド(コーヒー粉の層)に亀裂や隙間があったり、粉の層の密度に高低差があるからである。よりイメージしやすいように図を見てみよう。

 



 


上記の2つ図のように、密度が低い場所(左)や亀裂や隙間がある場所(右)、は自然と流量が多くなる。それは水が抵抗の少ない場所を通る性質があるからである


そのためコーヒーベッド(コーヒー粉の層)を通るお湯はより通りやすい抜け道(亀裂や隙間、密度の低い所)を探し出しながら、そこを目掛けて下に落ちようとする。


結果的にコーヒーベッド(コーヒーの層)の”ある一定箇所”から多くのお湯が通り抜けることになる。



チャネリングはコーヒー抽出においてどのような結果を引き起こすのか?

ある一定箇所を多くのお湯が通り抜ける「チャネリング」という現象が起こると以下の2つの結果が引き起こされる。


 チャネリングによって引き起こされる現象

■ 一部の箇所で過抽出及び未抽出が起きる
■ 濃度が低くなる



上記の2つの結果が引き起こされることによる味への影響も果てしなく大きい。チャネリングが起こる事による味への影響は以下で解説していく。





チャネリングが引き起こす味への影響

それではチャネリングによって引き起こされる2つの結果がどのようにコーヒーの味に影響を与えるのかそれぞれ見ていこう。



その1 一部の箇所で過抽出及び未抽出が起きる

 過抽出

お湯の流れが均一でなく、ある一定箇所からお湯が多く通り抜けてしまうとその箇所からコーヒーの成分が多く出過ぎてしまう。

成分が多く出過ぎた箇所は過抽出となり、その箇所から苦味エグ味渋みが多く抽出されてしまう。

 未抽出

過抽出が起こる箇所があれば当然お湯の抜けの悪い未抽出の箇所も出てくる。

取り出すべき美味しい成分を取り出すことができなかった状態の粉がコーヒー層内に多く残り、結果としてある箇所は未抽出のままで抽出が終了してしまう。

 

 

 

過抽出・未抽出についてもっと詳しく知りたい方は別記事『【未抽出・過抽出とは?】これを知ればもっとコーヒーはおいしく淹れられる!』で丁寧に詳しく解説しているのでそちらをぜひ参照してほしい。

 

 

その2 濃度が低くなる

亀裂や隙間のある箇所から多くのお湯が流れ続けるため、その部分は途中から薄い液体になりそれがカップの中に抽出され続けてしまう。その結果、濃度の低い液体になってしまう。

 

 

その結果

このようにある一箇所において過抽出が起き、その他の場所が未抽出になって抽出されたエスプレッソは結果として成分を均一に抽出できず、過抽出特有のエグ味や嫌な苦味、そしてアフターに渋さやドライさを感じるコーヒーになる。


それに加え液体としての濃度も低くなる。その結果決して美味しいとは言えないエスプレッソが出来上がってしまう。




チャネリングを防ぐには?

しっかりと粉をディストリビューション(分配)すること、そして真っ直ぐ適正な力でタンピングすることである程度チャネリングを防ぐことができる。


ディストリビューションとはフィルターバスケット内に粉を偏りなく均等に、且つバスケットの際(きわ)まで分配する作業である。


指を使ったり、手の平を使ってポンポンと叩いてディストリビューションする方法があるがやはり限界がある。そんな時は「ディストリビューター」という回すだけで綺麗にディストリビューションをしてくれるツールを使ってみてはどうだろうか。


もちろんこれを使えば完璧にチャネリングしなくなるということではないが、チャネリング防止の手助けをしてくれることは間違いない。





チャネリングはドリップコーヒーを淹れる時にも起こる

エスプレッソ抽出においてチャネリングとはどのような現象で、エスプレッソの味わいにどのような悪影響を及ぼすかを詳しく説明してきた。


エスプレッソ抽出において使用されるこのチャネリングと言う言葉。しかし実はこれはエスプレッソ抽出だけに起こる現象ではない。あまり着目されていないが、実はドリップをする際にもこのチャネリングという現象は起こり得る


つまりプロのバリスタだけでなく、自宅でドリップコーヒーを淹れて楽しむホームバリスタやコーヒーを趣味にしている方にも大変関係のある現象なのである。


ではどのような場合にドリップコーヒーのチャネリングが起こりうるのか説明していきたい。大きく分けて4つのケースがある。



 ドリップ時に起こるチャネリング 4つのケース

1. コーヒー粉が中央に集まっている場合
2. 蒸らしに使用する湯量が少ない場合
3. 一箇所に注いだ場合
4. ドリッパーが傾いている場合



前述した【水は抵抗が少ない場所を好んで通る性質がある】という事を頭に置きながら読むと以下で説明する内容が理解しやすい。それではドリップ時に起こるチャネリングの4つのケースを一つ一つ見ていこう。 




ケース1 コーヒー粉が中央に集まっている場合

ドリッパー内にコーヒーの粉が中央に集まっている場合はチャネリングが起こりやすい。


筒から粉をドリッパー内に投入したままの状態は中央が山になり外側に粉が行き渡っていない。そのため掛けたお湯は密度の低い外側から抜け落ちやすくなってしまう。



 解決方法

粉をドリッパーにセットした後はドリッパーを両手で持って軽く数回揺すってあげることで粉が外側まで行き渡り、コーヒーベッドの表面は平らになる。また同時にコーヒーベッドの内部の密度も均一化される。

 

 

 

 

ケース2 蒸らしに使用する湯量が少ない場合

蒸らしに使用する湯量が少なければ、コーヒー粉の全てに湯が行き渡らない。湯が一度行き渡った場所は親水性が高く、湯が行き渡らなかった粉は疎水性が高い


つまり蒸らし後の2投目に注ぐお湯はより親水性が高い箇所を選んで流れていきチャネリングが引き起こされやすくなる。

 

 解決方法

蒸らしに使用する湯量はコーヒー粉に対して2倍〜3倍は掛ける必要がある。

また蒸らしの湯を全てかけ終わったあと全てのお湯と粉を馴染ませるために、ドリッパーを両手で持ち回して揺するとよい。もしくはスプーンで軽く撹拌をしてあげても良い。

経験上スプーンの方が確実に蒸らしの湯を粉全体に染み込ませることができると考えている。

 

 

 

 

ケース3  強い勢いで一箇所に注いだ場合

お湯を一箇所に長い時間注いだ場合、注がれた箇所には穴が空き、その部分は密度が低い状態になる。その箇所からチャネリングが起こってしまう。



 解決方法

お湯を一箇所に注がず中央から外側、外側から中央と万遍なく注ぐようにする。(気持ち中央の注湯を多めにするのがオススメ)

またケトルの高さが高いとお湯に勢いが増しコーヒーベッドに穴を開けてしまう恐れがあるので、高すぎる位置からの注湯は禁物。注ぐ高さと注ぐ速さは必ず一定に保つようにする。

 




ケース4  ドリッパーが傾いている場合

ドリッパーが傾いた状態でサーバーの上に乗っていると傾いた方にお湯は多く流れる。つまり傾いた側は過抽出、逆側は未抽出が起こり成分を均一に抽出することができない。

 

 解決方法


ドリッパーをサーバーの上に置いたあと、腰を落としてドリッパーの傾きを確認する。傾いている場合はしっかりと真っ直ぐに置こう




 

最後に

今回はエスプレッソ抽出において意外と知られていない現象「チャネリング」について詳しく解説し、またドリップ時におけるチャネリングも合わせて説明した。


察しの良い方であれば今回の内容で一貫して何を言いたかったかが分かったはず。つまり「挽いたコーヒーの粉から均一に成分を取り出す事が重要である」ということ。


コーヒーの抽出とはコーヒー粉とお湯を合わせるという一見単純な作業に見えるが、エスプレッソ抽出時やドリップ時にコーヒーの層の内部でどんな事が起こっているのかを頭で想像しながらコーヒーを淹れる事であなたのコーヒーはもっともっと美味しくなるし、もっともっと楽しくなってくる。


今回の内容をぜひ頭の中に置いて頂きより楽しいコーヒーライフを送っていただければ幸いである。

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