先日バリスタの友人から「とても使いやすいから」と「Brewista Smart Scale Ⅱ (ブリューイスタ スマートスケール 2)」という電子スケールを勧められ、その友人から借りて実際に2週間使用してみた。
世界のトップバリスタが愛用しているという噂は聞いていたが、実際に使ってみた印象はかなり良い。美味しいコーヒーを毎回安定して淹れる事ができた。
機能性、コストパフォーマンス共に現時点でトップクラスだと感じたコーヒースケール「Brewista Smart Scale Ⅱ」の特徴とその良さを一つ一つ紐解いていきたい。
Brewista社とは?

世界的なコーヒーメーカーHARIOと比べるとまだ日本ではそこまで知られていないBrewista社(ブリューイスタ社)だが、プロからの注目度の高さは群を抜いており、常に熱い視線を送られている。
そんなBrewista社(ブリューイスタ社)はアメリカ合衆国ワイオミング州の南東部に位置するワイオミング州最大の都市シャイアンで2014年に産声を上げた。
創業して以来コーヒープロフェッショナルやホームバリスタに向けて魅力的なコーヒーツールを開発・販売しており、2018年の秋に満を持して日本に上陸を果たした。

ブランドアンバサダーはコーヒー抽出の世界一を決める大会「World Brewers Cup 2014」の覇者・ステファノ氏が就任。コーヒー業界では知らない人がいないほどの著名人。SCAJ2018ではBrewistaブースにRec Coffeeの岩瀬氏と共の参加している。
※SCAJ・・・一年に一度開催されるアジア最大のスペシャルティコーヒーの祭典

Brewistaのスケールもハイクオリティなら温度調整機能付き電気ケトルもハイクオリティ。プロのみならずホームバリスタの間でも人気が急上昇している。僕も家でヘビーユースしているが痒いところに手が届く機能性と人工工学に基づいたデザインをとても気に入っている。
世界中のトップバリスタの多くが使用している事で注目を浴び、今や電気ケトルNo1の呼び声が高いBrewistaのケトル。湯温を測るのに温度計を使うのがいつも煩わしく感じていたのと、Brewista製品がずっと欲しかったので購入してみた。単刀直[…]
Brewista誕生秘話

実際にBrewistaの製品を使っていて分かるのは、本当に使い手の事を良く考えて作られている、という事。現場のプロの意見を真摯にヒアリングし、それを商品設計に反映しようと日々努力しているBrewistaチームの情熱が頭に浮かんでくる。
以下Brewistaの理念が素晴らしいと感じたので以下に引用させていただく。
Brewistaは2014年に結成され、エンジニア、ロースター、バリスタの協力を得て、最高の一杯を抽出するためのツールを作っています。
何十年にも渡って培ってきた経験を活かした最高水準の技術と、世界中の賞を受賞したバリスタやロースターのノウハウを組み合わせた革新的な製品で皆さんを驚かせてきました。
Brewistaは皆さんにコーヒー生産者やロースターの情熱を体験していただきたいと考えています。
その情熱を、最大限に楽しんでいただくためにBrewistaは存在するのです。
コーヒースケールはなぜ必要なの?

それは料理やお菓子を作るのと同じ理由。
安定して美味しいコーヒーを淹れるためにはコーヒーのグラムやお湯の量、そして時間をリアルタイムで計る事が重要であり、コーヒー抽出はもはや勘に頼る職人技の世界ではなくなってきている。
また味のブレが顧客からのクレーム対象となる店舗でのコーヒー提供では、誰が淹れても毎回同じ味のコーヒーを作る必要がある。これは何もドリップコーヒーのみならずエスプレッソ抽出を行う際においても全く同じ事が言える。
素晴らしい味わいのコーヒーやエスプレッソを毎回安定して淹れたいならば、コーヒースケールを使用するのが一番の近道なのだ。
Smart Scale Ⅱ 5つの特徴
そんなプロのバリスタやホームバリスタにとって必須のツールであるコーヒースケールの究極版と言っても良い「Brewista Smart Scale Ⅱ」は以前発売されていたBrewista Smart Scaleの進化系モデル。
好評であった前回のモデルの良さを踏襲しながらも、今回のモデルではUSBケーブルで充電できるようになったり、シリコンパッドが付属されたりといくつかの改善が施されている。
さあそれでは、「バリスタの欲しい」が1つに詰め込まれたBrewista Smart Scale Ⅱの5つの特徴を細かく見ていこう。
1. 薄くてコンパクトなサイズ

上の写真は、
■ acaia(アカイア)デジタルコーヒースケール(写真左)
■ Brewista Smart Scale Ⅱ (写真中央)
■HARIO V60 ドリップスケール(写真右)
のサイズ比較。
数値で示す必要もないほど一目瞭然で、Brewista Smart Scale Ⅱが一回り小さくコンパクトである。
厚さも以下の表が示す通りBrewista Smart Scale Ⅱ(ブリューイスタ スマートスケールⅡ)に軍配が上がる。非常にコンパクトな設計なので場所を取らず持ち運びにも便利。
acacia | 厚さ約3cm |
Hario V60 ドリップスケール | 厚さ約3cm |
Brewista Smart Scale Ⅱ | 厚さ約2cm |
2. エスプレッソ用としてもぴったり

Brewista Smart Scale Ⅱはサイズがコンパクトで且つ薄型なのでエスプレッソマシンの台に置いても収まりが良い。
近年ではスケールが初めから内蔵されているビルトインスケールのエスプレッソマシンが販売されてはいるものの、マシンは高額な商品のためビルトインスケール付きのエスプレッソマシンにすぐに買い換えるということは難しい。
そういった理由からどんなエスプレッソマシンにもフィットするような薄型のコーヒースケールはバリスタから大変重宝されている。
3. 電池不要

乾電池式であった旧モデルから今回のモデルではUSBケーブルでの充電になり電池を購入する必要が無くなった。
自転車に装着するライトにも同じことが言えるが、電池式より充電式の方が何倍も楽なのを実感しているので、USBケーブルチャージ式になり個人的には大変ありがたい。
旧モデル | 乾電池式 |
Brewista Smart Scale Ⅱ | 充電式 |
※USBケーブルは同梱していないので注意
4. シリコンパッド付属


今回のモデルから新しく付属された「シリコンパッド」の最大の利点は、本体を温度変化から守ってくれる点。旧モデルにはこのシリコンパッドが付属されていなかったので非常にありがたい。
またシリコンパッドは滑り止めの効果もあるので、サーバーがスケールから滑って倒れる心配もなく、前モデルと比べてストレスなくドリップ作業に集中することができるのもグッド。
それは本体に内蔵されているロードセルという重さを検知するセンサーが温度変化の影響を大きく受け、スケールが誤作動を起こしてしまう可能性があるから。
抽出を開始し、スケールの上に置いてあるサーバーに熱いコーヒーの液体が落ちるとスケールに熱が伝わる。ドリップ作業中に温度変化によって正確な数字が液晶から出力されないとなれば、それは出来上がりのコーヒーの味にも大きな影響を及ぼすということに他ならない。
受けるカップも小さく、温度もそれほど熱くはないエスプレッソ抽出の場合は温度変化による影響はそれほどないが、ドリップをする時に使用するサーバーやケメックスなど底の面積が大きなものはスケールが温度変化の影響を多分に受ける。
そのためシリコンパッドの有無はかなり重要な要素となる。
5. ドリップとエスプレッソ抽出に特化した機能
重さと時間を計るだけの従来のコーヒースケールにはない特別な機能がBrewista Smart Scale Ⅱには搭載されている。
特にエスプレッソ抽出に特化したモード5とドリップ抽出に特化したモード6は秀逸。これらの機能はBrewistaにしか無いもの。
この二つの機能の使い方をマスターする事がBrewista Smart Scale Ⅱを使いこなす第一歩となる。それではそのモード5、モード6がどのような機能なのか見ていこう。
エスプレッソモード (モード5)

① グループヘッドの真下にスケールを置く
② スケールの上にカップを置く→自動で重さ表示0になる
③ 抽出ボタンを押して抽出開始→カップに液体が落ちた瞬間からタイマーが自動スタート
④ 抽出が終了したらカップをスケールから離す→重さとタイマーが自動で止まり、最終的なエスプレッソの抽出量と抽出時間が表示される
⑤ 5秒経つと重さ・タイマーが自動で0表示になる
エスプレッソ抽出において、スケールを使用して抽出されたエスプレッソの重さを測るバリスタが近年増えてきた。 しかしタイマーを押すタイミングを間違えたり、または遅れてタイマーを押してしまい正確な抽出時間を測れず、再度抽出し直さなければならない場面にあなたも遭遇したことがあるはず。
しかしこのモード5はカップの底にエスプレッソの液体が乗った瞬間にタイマーが自動でスタートするという素晴らしい機能になっている。そしてカップをスケールから引き抜いた瞬間にタイマーと重さが自動でストップする。
正確なエスプレッソの重さとタイムを測るという点においてBrewista Smart Scale Ⅱ(ブリューイスタスマートスケールⅡ)のモード5の右に出る商品は現時点ではないかもしれない。
ドリップモード (モード6)

① スケールの上にサーバーとドリッパーをセット→自動で重さ表示0になる
② ドリッパー内にコーヒーの粉を入れる→マニュアルで重さを表示を0にする
③ 注湯を始める→タイマーが自動でスタート
④ 抽出完了後に器具をスケールから離す→重さとタイマーが自動で止まり、最終的なコーヒーの抽出量と抽出時間が表示される
⑤ 5秒経つと重さ・タイマーが自動で0表示になる
ドリッパーをスケールを置いた後、手動で重さ表示を0にして・・・
粉をドリッパーに入れてまた重さ表示をゼロにして・・・
抽出を開始したらタイマーをスタートさせて・・・
抽出が終了したらタイマーをストップして・・・
という今までドリップ作業に必要としていた煩わしい動作がなくなったことによりドリップ作業に集中することができるようになった。より自分が狙った味を正確に計測できるようになったモード6は特にプロのバリスタにとって喉から手が出るくらい欲しかった機能だと思う。
あなたの疑問に答えるQ & A

ケメックスは使える?
相性としては△。ケメックスなどの大きいサイズのものは向いていない。理由はスケールのサイズがコンパクトなため、ケメックスをスケールに置くと液晶表示が隠れやや数字が見えなくなってしまうため。
操作は難しい?
モード5、モード6はカップや器具をスケールから離すとタイマーと重さが自動でストップする。ただ非常に感度が高いため、離す際に下に力を加えてしまうと重さの表示が正確に計測されない。
そのため取り除く際はそっと取り除かなければいけないが、慣れてしまえば特に問題はないと感じる。
特にこんな人におすすめ

デジタルコーヒースケールを使って安定的に美味しいコーヒーを淹れたい人にはもちろんおすすめしたい。
また、味の次に大事なのはコーヒーを抽出する際の所作。美味しいコーヒーを素晴らしい所作で淹れることでお客様の満足度は2倍にも3倍にも膨れ上がる。タイマーのオンオフや重さ表示を0にするなどの動作が減ることによって無駄な手数が減る事でより更にプロフェッショナルでスマートなバリスタになることができるだろう。そのため特にプロのバリスタにおすすめしたい。
またグラムとタイマーのみのシンプルなコーヒースケールを使い倒して飽きてきたホームバリスタにもBrewista Smart Scale Ⅱはおすすめ。ドリップモードなんかは抽出していてとても楽しめるだろう。
エスプレッソ抽出にのみ特化し、近代的なデザインとアプリ連動によるレシピ共有が魅力のacaia lunarも人気のコーヒースケールの1つ。購入に迷った際の候補の1つとして考えるのもあり。
トップバリスタに愛用者が多いアプリ連動型デジタルコーヒースケール「acaia(アカイア )」。そのacaiaのエスプレッソ専用モデルが「acaia Lunar(アカイア ルナー)」だ。エスプレッソ専用であるが、自宅でドリップスケール用として[…]
グラムと時間が測れるだけでいいという方であればシンプルなHARIOドリップスケールがおすすめ。価格もリーズナブルなのでスターターツールとしてベスト。
僕がコーヒーを本格的に始めようと思った当時、まず一番最初に購入したのがHARIO(ハリオ)のV60 ドリップスケール。そもそもコーヒーを淹れるのに計りが必要だなんて事さえ知らなかったのだけれど、働き始めたコーヒーショップでスケールを使ってコ[…]
■ 毎回安定した美味しいコーヒーを淹れたい人
■ スマートな所作でドリップコーヒーやエスプレッソを抽出したいプロのバリスタ
■ 普通のコーヒースケールに飽きた人
■ Brewista製品が好きな人
最後に

コーヒーのポテンシャルを最大限に引き出し、今までよりスマートな所作でコーヒーを抽出できることを可能にしたコーヒースケール界最高峰の機能を搭載するBrewista Smart Scale Ⅱ(ブリューウィスタスマートスケールⅡ) 。
近年デジタル化が進むコーヒー業界だが、最先端の器具を使いこなせるか否かが次世代バリスタに求められる最重要課題になっていくのではないだろうか。持っていて絶対に損はない一台であることは間違いない。
製品仕様

■ 最大2000g測定可能
■ 0.1g単位表示
■ グラムorオンス表示切り替え可能
■ USB充電式
■ オートオフ機能
■ シリコンパッド付き
■ 耐水性ナノコーティング